|
テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:日本映画
≪少女との出会いで晴男は大人になれた≫
日本人俳優で絶対に「好き!」と思うのは竹野内豊と佐藤浩市です。この二人は文句なしに好き。でもこの人が出てると観たくなる、と思うのが筒井道隆と西島秀俊です。このふたりは『あすなろ白書』に出ていた時からいいなあ、と思っていたのですが、決して派手ではないしどちらかというとホワ~ンとした感じが共通しています。母性本能をくすぐるタイプかなぁ。 今日の映画はその西島秀俊主演作品。利重剛も何故か好きなんですが、今回彼は脚本で参加しています。 再婚する母の結婚式に出席する為に帰郷した晴男は、昔の恋人みゆきに再会し心がざわつく。離婚した彼女は、小学一年生の娘チハルを連れて故郷へ帰ってきていたのだった。みゆきは晴男にチハルに会わせたいと言う。翌日晴男は彼女のアパートを訪れるがみゆきは帰って来ず、勤め先のスーパーには風邪で休むと言ったらしい。晴男とチハルはみゆきを捜しあちこち訪ね歩くが… おそらく30歳は過ぎているであろう晴男だけど、ブランコをチハルに譲ってほしい事を小学生にうまく言えないような頼りない男性。不器用で鈍感。でも誠実さが端々に表れている。 母親の再婚相手に「不束な母ですが、どうかよろしくお願いします」と頭を下げるところや、特にラストの方のみゆき相手に言う場面などは、そういう誠実さがあふれていて好きです。 それに比べこのみゆきは何を考えているのか分からない不思議な女性です。「チハルのハルは晴男君の晴よ」とか言われれば、そりゃぁ晴男は勘違いもしたくなります。急にいなくなったり無責任極まりない。でも彼女の気持ちはわからなくもないんですが。昔と全然変わらない男性に少し意地悪をしたくなる気持ち。 このヌボーっとした感じの子供の扱いなんて分からない晴男が、チハルと共に小さな旅をするうちに次第に芽生えていく愛情にも似た感覚。はじめ晴男を警戒しながらも、病院で晴男にチハルが言う台詞には子供らしい晴男に対しての精一杯の愛情表現が感じられます。そして彼女との出会いが、晴男をやっときちんとモノの言える大人へとしたのかもしれません。 わずか一日にも満たない大人の男性と7歳の女の子の小さな絆を、ほのぼのと描いたすてきな作品でした。 2004年 監督:萩小田宏治 脚本:萩小田宏治、利重剛 出演:西島秀俊、片岡礼子、守山玲愛、吉行和子、高橋長英、光石研 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本映画] カテゴリの最新記事
|
|