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カテゴリ:イギリス映画
≪少女に戻れたひと夏、忘れられない青年との想い出≫
去年「ピアノマン」の出現時にこの映画の内容に似ていると話題になったので、WOWOWで放映されると知りとても楽しみにしていました。 第二次世界大戦直前のイギリス、コーンウォール地方。初老の姉妹ジャネットとアーシュラは海の近くの美しい自然に囲まれた家で穏やかな日々を過ごしていた。嵐の去ったある朝、二人は浜辺に打ち上げられた1人の青年を発見し家へ連れ帰る。彼はポーランド人、アンドレア。姉妹の手厚い看護により次第に回復した彼は得意のヴァイオリンで村人を、そしてとりわけアーシュラの心を虜にしていく…。 切ないなぁ。 静かな生活を営んでいた姉妹のもとに突然現れた若者。彼の出現によって姉妹は看病する事で何か活気を帯びるのですが、同時に他の感情も彼女達に呼び起こすのでした。アンドレアが眠っている間どちらが看病するか、とか何を食べさせる、それは魚が多すぎる、などとても細かい事で言い争ってしまう姉妹の様子は、はっきり言って「いい年しておかしい」というような他愛もない事なのですが、そうなってしまうほどアンドレアの存在が彼女達の、とりわけアーシュラの心を乱してしまうものだったのです。 自分にはなかった幸せな時を青春時代の自分に戻って、相手をアンドレアに重ねて恋をしてしまったアーシュラ。そして彼女の歯止めのきかなくなってしまったような様子を心配しながらも、静かに見守る姉のジャネット。彼女達はあえてアンドレアの事を細かく聞こうとはしません。彼にあるチャンスが舞い込むものの、それを隠してしまう彼女達。彼女達の気持ちがわからなくもないことに気付き、一瞬唖然としてしまいました。私も年取ったんだなぁ。 アンドレア役は『グッドバイ、レーニン』で主役を務めたダニエル・ブリュール、彼は最近いろんな映画に出演していて、期待の持てるドイツ人俳優です。ただ、ヴァイオリンを弾く様子、もうちょっと工夫して欲しかった、というのは酷でしょうか。そして、彼は自分のことを結局ほとんど何もしゃべらずに行ってしまったというのが(英語が未熟なせいか?)謎めいているのですが、こういうところ浜辺に打ち上げられていたのを発見されたというのが「ピアノマン」に類似していると言う事だったのでしょうか。 揺れ動く心を時に吐き出しそうになったり、時に自制したりと姉妹を演じるマギー・スミスとジュディ・デンチは言うまでもなく名演で。 再び熱い心を持てた彼がいた夏は過ぎ、そして又静かな生活に戻る、「それでいいんだ」と思わずうなずいてしまうようなラスト。二人の後姿に思わず涙が出そうになりました。 LADIES IN LAVENDER 2004年 イギリス 出演:ジュディ・デンチ、マギー・スミス、ダニエル・ブリュール、ナターシャ・マケルホーン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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