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テーマ:おすすめ映画(4068)
カテゴリ:イタリア映画
≪外から見た方がよりよくわかることがある≫
イタリア映画は昔から、貧しさの中の幸せとか人間賛歌を描かせたら右に出るものはいない、と思わせるほどいい作品を作っていると思います。今日のもそんな中の1作。 ナポリ沖合いの小さな島。パブロ・ネルーダはチリの偉大な詩人で政治家。共産主義活動が理由で祖国を追放されイタリアに亡命、そしてこの島に滞在する事になった。漁師の父親と二人暮らしのマリオは、このネルーダに届く手紙を配達するために臨時で雇われた彼の専属郵便配達人。初めは女性の心を掴む文章を習おうとマリオはネルーダに近づくが、次第に彼から影響を受け、2人の親交は深まっていく。 この映画は、実在した詩人その人ずばりバブロ・ネルーダに取材したスカルメタの原作をベースに作られたものだそうです。 おそらく1950年代位であろうこの時代の離島。貧しい島の、貧しい暮らし。漁師は出来ないと仕事を持っていないマリオが見つけた仕事がこの郵便配達。初めは女性へ近づくための目的でネルーダに近寄るマリオ。彼に多大な影響を与えたネルーダは、隠喩や詩の奥深さ、そしてこの島の素晴らしさを、マリオに自然な形で伝えていきます。 詩に次第に夢中になり、それとともに自分の住んでいる島の良さに気付かされ、愛情を増していくマリオ。 やがてネルーダが祖国に帰り、彼からの便りを心待ちにしていたマリオの元に届いた彼からの手紙はそっけないもので、そこからあることに気付かされたマリオに目を見張るものがあります。いつも受身だった彼がやっと自分から起こした行動。しかし… 朴訥で不器用なマリオをそのままで演じているようなマッシモ・トロイージが熱望して作られた作品だそうですが、病をおして出演したこの映画が出来てすぐに彼は亡くなったのだそうです。全身全霊を込めて作られた作品なのでしょう。それを知って改めて観ると、トロイージがまさしくマリオそのものになりきっていたような感じがします。 『ニュー・シネマ・パラダイス』でアルフレードを演じたフィリップ・ノワレが又ここでも上手く、ラストシーンはとても印象深いものがあります。 DVDのパッケージにもなっている、2人が海を見つめる後姿を見ただけで、熱いものが込み上げてきます。 美しい風景を満喫できて、「いい映画を見たな~」としみじみと言えるのです。 IL POSTINO / THE POSTMAN 1994年 イタリア/フランス 監督:マイケル・ラドフォード 脚本:マイケル・ラドフォード、マッシモ・トロイージ、アンナ・パヴィニャーノ、フリオ・スカルペッリ、ジャコモ・スカルペッリ 出演:マッシモ・トロイージ、フィリップ・ノワレ、マリア・グラツィア・クチノッタ、リンダ・モレッティ、アンナ・ボナルート DVD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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