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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
≪何でそんなに死に急ぐ?≫
1927年にベルリンで実際に起こった話を基にした映画です。 名門寄宿学校の同級生のパウルとギュンター。パウルは労働者階級出身だが、成績優秀な為この名門校に通っている詩を愛する内気な青年。ギュンターは上流階級出身で、向こう見ずで高慢。全く正反対の2人だが何故か気が合って、ギュンターの郊外の別荘にパウルは招かれたりしている。以前そこで逢ったギュンターの妹ヒルデに恋心を抱いているパウルは、試験前の週末も、両親が不在の別荘にヒルデに逢いたいが為にギュンターの誘いを受けて行くのだが、彼女にはシェフ見習いのハンスという恋人がいる。 この物語の主な主人公パウルとギュンター、そしてそれを取り巻く大事な人物のヒルデ、ハンス、ヒルデの友人エリー。この5人の関係が複雑に入り混じっています。 ギュンター、ヒルデの兄妹はやけに親しくもしや近親相姦的な関係か?と思っていたら実はそうではなく、ハンスとの関係もあり、エリーはパウルに恋をして…と複雑。ヒルデとハンスだけが上手くいっているように見えるけど、ヒルデも自分の子悪魔的な魅力をちゃんと判っていて、もてあそんでいるようにしか思えません。後はみんな一方通行で切ない。 「自分達の愛を裏切った者たちに復讐し、復讐したら微笑みながらこの世を去る」と遺書に書いたとおりにハンスを殺し、自殺したギュンター。 このシーンはとてもリアリティーがあって気持ち悪くなったほどです。 思春期って独特の危うさを秘めていて、こんな事件って昔から起こりがちです。小説でもよく出てくるし。もちろんそんな事何も考えずに素直にまっすぐ健全と育つ子ってのは問題ないんだけど、頭の良すぎる子たちがこんな風になってしまうのでしょうか。 絶望感を覚えたら、もうその先にあるのは"死"でしかないなんて、あまりに刹那的だし破滅的。純粋が故にそうなるのか。でも、絶望的だと思えることも、数年、数十年経てば笑い話になることの方が多いって事は、そこを通り過ぎた大人たちにはわかっているんだけども。 当時「シュテークリッツの悲劇」として有名になった事件らしいけど、ここではその裁判の様子までを描いています。その後の生き残った3人の事をラストでちょっと触れられていたけど、だれも傷を負ったまま生きていった事が伺えます。 パウル役は活躍中のダニエル・ブリュール。女性陣がもうちょっと魅力的だと良かったかも。子悪魔的な感じが不足だったかな。 パウルとギュンターが麦畑で遊ぶシーンは、後の悲劇を知ると余計に美しく叙情的。 WAS NUTZT DIE LIEBE IN GEDANKEN / LOVE IN THOUGHTS 2004年 ドイツ 監督:アヒム・フォン・ボリエス 脚本:ヘンドリック・ハンドレーグデン 原作:アルノ・マイヤー・ツー・キュイングドルフ 出演:ダニエル・ブリュール、アウグスト・ディール、アンナ・マリア・ミューエ、トゥーレ・リントハート、ヤナ・パラスケ DVD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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