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テーマ:TVで観た映画(3913)
カテゴリ:日本映画
夕べテレビでやってました。 原作は未読。 交通事故に遭って以来記憶が80分しかもたない天才数学者。博士と呼ばれるその彼と、彼のもとに派遣された家政婦と、その小学生の息子√(ルート)との交流を描いた作品です。 こういう映画嫌いじゃないなぁ。 『50回目のファーストキス』を観た時、こんな病気が本当にあるのか?と思ってしまいましたが、あるのですね。あの話は一日で記憶を失くしていましたが、ここでは80分です。短いですよ、80分というのは。一日のうちで同じ事を何度も繰り返し、その度に本人は初めての事だから付き合う方もそのように接しなければならない。大変だと思います。 ただ、映画ではその繰り返しの大変さとか、本当だったらもっといろんな軋轢がありそうな気がするんだけど、そのあたりはあまり描かれていませんでした。気難しい人で今までに何人も家政婦が代わった、と言う割には、その気難しさなどはさほど感じられなかったし。 √は、頭の形が平らだからと言う理由で、博士がつけたニックネーム。その√が成長して数学教師になり、生徒を前に博士の思い出と共に数字、数式について語るという方式で物語は進むのですが、その授業風景がいいです。私は数学はあまり好きではなかったけど、博士が√やその母親にした説明がそうだったように、√の説明は実にわかりやすく、数字にとても興味を持てるものでした。学生時代数学の教師がこのような授業をしてくれたら、数学が好きになっていたかも…本当に。そして、数字ってとてもロマンがあるんだな、と言うこと。この映画の私にとっての一番のポイントは、実はその発見かな。 本宅の未亡人と博士の関係、家政婦の事情、そのあたりも相違点があるようでした。博士からメモを見せられた頑な未亡人が、ついに本宅と博士の家の間の木戸を開けたあたりのポイントはオイラーの公式なるもの。e(πi)+1=0 この説明がなるほど、と思わせるものでした。それぞれの数字をそれぞれの人物に合わせているのです。こんな難しい公式にも彼らの関係を当てはめると納得がいくのです。 桜の花の咲く中、博士と家政婦が散歩するシーンは、美しくてほっとして、癒されるのでした。 2005年 監督/脚本:小泉尭史 原作:小川洋子 出演:寺尾 聰、深津絵里、吉岡秀隆、齋藤隆成、浅丘ルリ子 DVD 文庫本 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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