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カテゴリ:イギリス映画
≪解雇された坑夫たちのために≫ 実在のバンドをモデルに映画化された作品です。 1990年代初めのヨークシャー地方。炭鉱の町グリムリーは、炭坑閉鎖問題で揺れていた。 伝統を誇るブラスバンド、グリムリー・コリアリー・バンドもメンバー達は炭坑閉鎖で失業の危機に。そんな中、バンドに情熱を傾けるリーダー兼指揮者のダニーは、全英選手権に出場し、ロイヤル・アルバート・ホールで演奏し、優勝する事を目標にしていた。 サッチャー政権時代の構造改革は、合理化を推し進めるために炭坑の閉鎖、それにともなうコミュニティの崩壊を招きました。 いつの時代でも、どこの国でも、近代化したり改革したりする際に付きまとう問題です。 メンバー個々にもいろんな問題があり、悩みがあり、バンドも半ばまとまらなくなってきますが、ある事をきっかけにより結束力が強まり、感動の結果に導きます。 ただ、感動の結末のその後に何が残っているかというと、それは決して明るい未来ではなかったのです。それでも、誇りだけは失わないように生きようとするダニーのアルバート・ホールでの演説が、この作品の全てを物語っているように思えました。 そして、炭坑夫たちのラストの力強い「威風堂々」の演奏には、胸が熱くなりました。 炭鉱町を舞台にした映画には、洋の東西を問わず良いものが数多くあります。 繁栄から一転衰退の道を辿るものもありますが、中には上手く転換して成功した例もあります。『フラガール』はその一例ですが、しかし、それでもみんながハワイアン・センターで働けたわけではありません。他の炭鉱へ移った人もいれば、完全に失業した人もいたことでしょう。落盤事故で亡くなった方も多いでしょうし。そういった背景があるので、炭鉱町を舞台にした映画には濃い人間ドラマが隠されていて、感動するのだと思います。 この映画での演奏シーンには、実際にグリムリー・コリアリー・バンドのメンバーが映画の出演者に混じって演奏しているそうです。そのメンバー達の実際の行く末はどうなったのでしょうか。事実は明るいものではなかったのかもしれません。失業、死、と言う言葉が頭をよぎります。しかし、何もかもハッピーエンドでは終わらないというのも、これこそ事実なのです。そして、この映画が実話ベースだからこそ、その内容の重さを深く受け止めるのです。 BRASSED OFF 1996年 イギリス 監督/脚本:マーク・ハーマン 出演:ピート・ポスルスウェイト、スティーヴン・トンプキンソン、ジム・カーター、ユアン・マクレガー、タラ・フィッツジェラルド、フィリップ・ジャクソン DVD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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