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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:イギリス映画
20世紀初頭イングランド、コーンウォール。両親が正式に結婚する前に生まれた子供だった為、皆から疎まれ、閉鎖的な村で孤独に生きてきたエイミー。ある日、難破船の生き残りの男ヤンコがこの村に現れるが、村人はこの外国人で、言葉が通じないヤンコを助けようともせず、狂人扱いする。しかし、エイミーだけは違っていた。 切ないラブストーリーです。 元来明るい性格で、ウクライナから新天地アメリカへ向けての船旅の筈が、嵐で船は難破して、はからずもイングランドに漂着。言葉が通じない所でたった一人で過ごさなければならなかったヤンコ。 エイミーは、海からの漂流物を拾い集めては洞窟に隠し持っていて、それが唯一の彼女の慰めでもあったわけです。 そして、海から来たヤンコは、又エイミーの救いになるのでした。 エイミーもヤンコも世間から受け入れられない存在。その二人が自然と愛し合うようになり、結婚し男の子に恵まれる。 やっと幸せが訪れるのかと思いきや、神さまはどこまでも意地悪で、エイミーをこれでもかと言う風に不幸の縁へと追いやる。 私なんかは、「今はこんなに悲しいけど、こんなに辛い思いをした後はきっといい事があるから。」 そういう風に思って生きてますが。この映画のエイミーはどこまでも悲しい、辛い。これでもか、これでもか、と言う風に試練を与えられてしまっています。だけど、人生はまだまだ。きっと彼女にも幸せな日々が待っているさ。そう思ってあげない事にはいられないような作品でした。 孤独に生きるエイミーは、静かで強い。そんなエイミーをレイチェル・ワイズが見事に演じていました。無口なエイミーはいつも目で訴えます。悲しみも孤独も、そしてほんの一時の幸せもレイチェルの大きな瞳でエイミーの心情を表現していました。彼女が断崖絶壁に立ち海を見つめる姿は、悲しみと芯の強さをしっかりと見せてくれています。 イアン・マッケラン扮する医師はヤンコに親切にしてくれた人物ですが、彼も又エイミーを忌み嫌っています。ヤンコが病気で苦しんでいる時にエイミーがいなかったからか・・・それだけではないように思えましたけど。彼はヤンコに特別な感情があったからではなかったかと。苦しむヤンコを抱きかかえる美しさと表情に、医師の想いを垣間見る事が出来たマッケランの演技はさすがだな、と。 どこまでも曇り空、そんな雰囲気の映画なのですが、ヤンコとエイミーの一粒種はきっと将来エイミーを幸せにしてくれるのではないか、とラストのちょっと明るい空模様がそんな期待を抱かせてくれました。 SWEPT FROM THE SEA 1997年 イギリス/アメリカ 監督:ビーバン・キドロン 脚本:ティム・ウィルコックス 原作:ジョセフ・コンラッド 『エイミー・フォスター』 音楽:ジョン・バリー 出演:レイチェル・ワイズ、ヴァンサン・ペレーズ、イアン・マッケラン、キャシー・ベイツ、ジョス・アックランド お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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