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テーマ:おすすめ映画(4071)
カテゴリ:日本映画
友人達がこの映画を観てとても良い感想を持っていたので、私も観たいと思っていたら、まさかのアカデミー賞外国語映画賞受賞。それでその思いは更に強くなり、3月にやっと観てきました。 所属していた東京のオーケストラが突然解散。チェロ奏者として食べていく道を諦めた大悟は、妻と共に故郷の山形へ帰る。早速職探しを始めた彼は、「旅のお手伝い」と言う求人広告を見て面接へ。ところが、旅行代理店だと思い込んでいたその会社の仕事は、実は納棺師という、人生の終わりの「旅立ちのお手伝い」をする仕事だった。 ’死’を語る時、私には’恐れ’の気持ちがあります。 自分が死んだら、何にもない’無’の世界へ向う恐ろしさ。親しい人が死んだら、もう二度と逢うことが出来ないという、悲しみの恐ろしさ。 私がまだ小学生だった頃、父が「人生最大のイベントは葬式だ」と言ったのを聞いて、?でした。じゃなくて結婚式じゃないのかな?ってその頃は思ってましたから。しかし、歳を重ねていくうちに身内や友人を亡くし、その意味が分ってきたような気がします。この世に生を受ける事はもちろん人生におけるビッグイベント。それと対極にある’死’、その’無’という新たな世界へ導く為の重要な儀式が葬儀。イベントと言ってしまうと、何か盛大なイメージがあるかもしれませんがそうではなく、何よりも大切なもの、と言う意味です。’生’と’死’は両方とも人生の最大の出来事なのです。 映画は重い題材を扱ってはいますが、淡々と進みます。ユーモラスな部分も加えて、時には爆笑する事も。しかし、美しい納棺師の所作を見て、又親族の死者に対する思いがちらほらと垣間見え、そこに自分の周りの逝った人たちを、そしてその人たちを見送った時の事などを思い出し、いろんなシーンで涙がとてつもなく溢れ出ました。思いがけない事でした。 実際に納棺師の指導を受けて撮影に臨んだモッくんの所作は本当に美しく、こういう納棺師の方がどこにでもいらっしゃるわけではないようですが、身内や自分もその時はこんな風に送られたら・・・と思ってしまう程遺体を大切に扱い、尊んでいる事が見ているだけで分りました。その所作自体に死者への尊厳が感じられるのです。 広末涼子が何か足りない。この人はどの作品においてもそういう印象があるのだけど、今回もそうでした。しかし、山崎努が、笹野高史がそれを補っていました。白子を食べる山崎務なんて、本当においしそうで・・・モッくんももうちょっと頑張らなきゃ、って思って(笑)。 そして、峰岸徹。タイミングがあまりにぴったしで、冥福を祈らずにはいられない気分でした。 他作品を観ていないのでわかりませんが、実際本作を観て、アカデミーがこの作品を選んだ事を少し意外に思いつつも、人間の本質や生死の尊さ、日本の文化等も分ってもらえたのかもしれない、と感じ、やはりとても嬉しく思います。 山形の美しい風景と共に、しみじみと、じんわりと、優しい作品でした。 2008年 監督:滝田洋二郎 脚本:小山薫堂 出演:本木雅弘、広末涼子、山崎 努、余貴美子、吉行和子、笹野高史、杉本哲太、峰岸 徹 他 DVDもう出てるのですね。 おくりびと お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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