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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:日本映画
何でこれが日本アカデミー賞の作品賞なの? 昨年話題になった映画。数ヶ月程前、本屋で原作本を手にとって買おうかどうしようか迷ったのだけど、滅多な事では原作に勝る映画はないと思うので、まずは映画から観てその後に読もうと、その時は買うのを止めた。 観る前にある程度期待していたのだが、全く予想と違う映画だった。要するに、愛する我が子を殺されても、犯人が未成年ならば少年法により守られている事から、自分で彼らを罰する、痛い目に合わせる、と言う復讐劇。 森口先生の淡々とした告白は驚愕の告白であり、犯人はあっさりと分かってしまう。その後は、犯人や親、クラスメートの告白が続き、結局森口の思い通りに進んで行く。犯人はすぐに分かるからサスペンスの体はなさないのかと思えば、犯人のそれぞれの家庭環境や隠された秘密が暴露されるのでそこは引き込まれる部分もあるし、目を離せない部分はある。生徒たちも熱演している。しかし、何とも後味の悪い作品だった。 森口悠子は目的を果たした。しかし、本当に心から喜べるのだろうか。あのままあの子達をほうっておいたら、又同じような事を繰り返したかもしれないけど、それにしても人が死に過ぎた。命の大切さを子供たちはわかっていない、と言いたいのか、では、森口のした事は何か。 結局みんな自分勝手。もちろん森口悠子は被害者で、彼女の犯人に対する憎悪は理解できるが、共感は出来ない。 感動ものではなかったし、打ち震えたとしてもただの嫌悪感で打ち震えただけ。あのクラスだけで秘密に出来ることか、あそこでばれるだろう。あの少年にあんな大それた事ができるのか。1年B組の中と、少年Bの母親、担任教師だけの世界で起こる出来事で突っ込みどころは多いし、一歩深さが足りない、と言う感想が最後まで残る映画だった。 これが日本アカデミー賞の作品賞だったとは。 元来好きな、オススメの映画を書く事を目的としてきたブログだけど、これは私の好みではなかったが敢えてレビューを書いた。話題になったし、ある種のエンターテイメント性はあると思う。本場のアカデミー作品賞を受賞した『ハートロッカー』を観た後に本作を観たので、得るものがない本作が、これが日本アカデミー賞の作品賞だったと考えると悲しい。 小説は、もちろん読まなくていいと思った。 2010年 監督/脚本:中島哲也 原作:湊 かなえ 出演:松 たか子、木村佳乃、岡田将生、西井幸人、藤原 薫、橋本 愛、芦田愛菜 他 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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