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カテゴリ:今日のできごと
土・日と、息子のサッカーに付き合った。
他県から4チームが参加し、20チームでの大会。 毎年他県チームが優勝していた大会だったので、今回はウチが・・・と、昨年からねらっていた大会だった。 一日目予選。 第一試合。 いつも練習試合などで、負けたことがない相手。 これは楽勝だと臨んだにもかかわらず、敗退。 どうしたことか。 一人一人の動きが悪く、連携も悪い。決め手もない。 表情はかたく、焦りの顔。それぞれが必死なのに、気持ちはバラバラになっている感じ。 これで勝てるはずがない。 二試合目。 毎年優勝をさらっていくチームとの対戦。 主催チームに仕組まれたと思える、予選での対戦。 これに勝たないと決勝リーグには残れない。 コーチも必死。子どもたちも必死。 だけど、体が動いていない。気持ちもバラバラ。 ・・・ダメだ。こんなのは、いつものこの子たちじゃない。 相手チームが噂ほど強くなく、いつものコンディションなら勝てるはず。そう思えるだけに、いっそうプレッシャーがかかる。 敗退。 決勝リーグには手が届かなかった。 なんなのだろう。この重い空気は。 子どもたちがみな死んだ目をしている。 試合の空き時間に、はしゃぎすぎと思えるほどに元気な子どもたち。 この元気がどうして試合のときに出てこないの? ・・・出せないほどのプレッシャーが、心理的な何かがあるからなのではないのだろうか。 どうしてだろう。 三試合目。 ベストメンバーで固めていた前二試合とは異なり、ベンチを温めていた補欠選手が全員出場。 コーチ陣の考えは「全員を出場させる」。 決勝リーグ進出が無理と決まり、力を抜いたのだろう。 まだピッチに立っていない子どもたちを全員入れ、レギュラー陣をベンチに下げた。 相手のチームは、やはり練習試合では負けたことのないチーム。 でも、こちらもベストメンバーではないから、油断はならない。 今日初めてピッチにだしてもらえた子どもたちは、嬉しそうな顔。 2敗を背負っていながらも、やる気が満ちた顔。 補欠メンバー達は、確かに個人技での足りなさが目立つ。 それなのに、試合はスムーズにウチのペースで進んでいる。 補欠メンバーを、他のメンバーがよくフォローしている。 目配り、気配り。動きが良い。 生き生きとした顔。機敏な動き。目の輝き。 すると、あっという間の先制点。 喜んでいる間に追加点をどんどん加え、9点も得点した。 なんということか。 ベストメンバーだけで固めていたときの、あのぎすぎすした、お互いを信用してないような空気の重さがないではないか。 レギュラー陣のしなやかな動き。 補欠メンバーのフォローに入る分だけ、運動量が増えているはずなのに、生き生きと元気に動き回っているではないか。 どういうことだろうか。 レギュラー陣のフォローの元で、補欠メンバーも十二分に実力を発揮して、良いプレーが次々に生まれていく。 ナイスプレーと声をかけてもらい、恥ずかしそうに笑う補欠メンバー。 声をかけたレギュラーメンバーの顔も、輝いている。 これがウチのチームのはず。 相手をフォローし、相手を認め、相手の活躍を素直に喜ぶ。分かち合う。 ひとりひとりを信用して、パスを回す。信頼されて走り出す。 これがこの子達の力なのだった。 圧勝の試合だったが、勝ったことよりも、子どもたちの表情が戻ってきたことが嬉しかった。 ひとりひとりの顔が輝いていたのが嬉しかった。 よかった。空気が変わった。 いつもの、のびのびとした顔に変わった。 「勝たなければならない」というプレッシャーは、思っている以上にみんなの心を締め付けていた。 子どもはもちろん、コーチ、保護者。みんな。 焦る子どものツライ気持ちを、大人は誰も受け止めなかった。 ガンバレと、頑張っている子どもたちに言う。 失敗して落ち込む子どもに、何やってるんだ! と怒鳴る。 焦ってミスが増える子どもたちに、やる気があるのか! と叱る。 ○○君しっかりしてよ、と保護者から声があがる。 ツライ、ツライ。苦しい、苦しい。 みんながしんどい。 子どもたちも、お互いのミスを指摘しあい、ののしりあう。 プレー中の声かけも、「そこ、何やってんだ」「2番は誰がマークするのかわかってんのか」と怒鳴りあう。 なんとも冷たい空気。ますます体は固くなる。 補欠メンバーの登場で、子どもたちも、大人達も、気持ちがかわっていった。 認めあう空気が生まれてきた。 ○○君、頑張ってるね。上手くなったね。 ナイスプレー。ナイスパス。ナイスアシスト。 入らなくても、ナイスシュート。ナイストライ。 かける言葉が変わると、空気も変わる。 空気が変われば気持ちも変わり、表情が変わる。 体がしなやかになり、動きも軽くなる。 そして良いプレーが続いていく。 人と人との関係は、とても複雑。 サッカーのプレーでも、人間関係が良い方にも悪い方にも流れをもっていく。 メダルを逃した大会は、子どもたちにも悔しさを残しただろうけれど、何か違うものは得られたかもしれない。 決勝リーグではない、第二トーナメントに進んだ我がチーム。 二日目は全勝。 前日とは全く違う顔の子どもたちと、実力を発揮して良いプレー続出の試合展開。 子どもたちも、コーチも、保護者も。 きっと何かをつかんだと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.08.17 09:46:37
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