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日々是好日

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2004.08.17
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カテゴリ:今日のできごと
土・日と、息子のサッカーに付き合った。
他県から4チームが参加し、20チームでの大会。
毎年他県チームが優勝していた大会だったので、今回はウチが・・・と、昨年からねらっていた大会だった。

一日目予選。
第一試合。
いつも練習試合などで、負けたことがない相手。
これは楽勝だと臨んだにもかかわらず、敗退。
どうしたことか。
一人一人の動きが悪く、連携も悪い。決め手もない。
表情はかたく、焦りの顔。それぞれが必死なのに、気持ちはバラバラになっている感じ。
これで勝てるはずがない。
二試合目。
毎年優勝をさらっていくチームとの対戦。
主催チームに仕組まれたと思える、予選での対戦。
これに勝たないと決勝リーグには残れない。
コーチも必死。子どもたちも必死。
だけど、体が動いていない。気持ちもバラバラ。
・・・ダメだ。こんなのは、いつものこの子たちじゃない。
相手チームが噂ほど強くなく、いつものコンディションなら勝てるはず。そう思えるだけに、いっそうプレッシャーがかかる。
敗退。
決勝リーグには手が届かなかった。

なんなのだろう。この重い空気は。
子どもたちがみな死んだ目をしている。
試合の空き時間に、はしゃぎすぎと思えるほどに元気な子どもたち。
この元気がどうして試合のときに出てこないの?
・・・出せないほどのプレッシャーが、心理的な何かがあるからなのではないのだろうか。
どうしてだろう。

三試合目。
ベストメンバーで固めていた前二試合とは異なり、ベンチを温めていた補欠選手が全員出場。
コーチ陣の考えは「全員を出場させる」。
決勝リーグ進出が無理と決まり、力を抜いたのだろう。
まだピッチに立っていない子どもたちを全員入れ、レギュラー陣をベンチに下げた。
相手のチームは、やはり練習試合では負けたことのないチーム。
でも、こちらもベストメンバーではないから、油断はならない。
今日初めてピッチにだしてもらえた子どもたちは、嬉しそうな顔。
2敗を背負っていながらも、やる気が満ちた顔。
補欠メンバー達は、確かに個人技での足りなさが目立つ。
それなのに、試合はスムーズにウチのペースで進んでいる。
補欠メンバーを、他のメンバーがよくフォローしている。
目配り、気配り。動きが良い。
生き生きとした顔。機敏な動き。目の輝き。
すると、あっという間の先制点。
喜んでいる間に追加点をどんどん加え、9点も得点した。
なんということか。
ベストメンバーだけで固めていたときの、あのぎすぎすした、お互いを信用してないような空気の重さがないではないか。
レギュラー陣のしなやかな動き。
補欠メンバーのフォローに入る分だけ、運動量が増えているはずなのに、生き生きと元気に動き回っているではないか。
どういうことだろうか。
レギュラー陣のフォローの元で、補欠メンバーも十二分に実力を発揮して、良いプレーが次々に生まれていく。
ナイスプレーと声をかけてもらい、恥ずかしそうに笑う補欠メンバー。
声をかけたレギュラーメンバーの顔も、輝いている。
これがウチのチームのはず。
相手をフォローし、相手を認め、相手の活躍を素直に喜ぶ。分かち合う。
ひとりひとりを信用して、パスを回す。信頼されて走り出す。
これがこの子達の力なのだった。

圧勝の試合だったが、勝ったことよりも、子どもたちの表情が戻ってきたことが嬉しかった。
ひとりひとりの顔が輝いていたのが嬉しかった。

よかった。空気が変わった。
いつもの、のびのびとした顔に変わった。


「勝たなければならない」というプレッシャーは、思っている以上にみんなの心を締め付けていた。
子どもはもちろん、コーチ、保護者。みんな。
焦る子どものツライ気持ちを、大人は誰も受け止めなかった。
ガンバレと、頑張っている子どもたちに言う。
失敗して落ち込む子どもに、何やってるんだ! と怒鳴る。
焦ってミスが増える子どもたちに、やる気があるのか! と叱る。
○○君しっかりしてよ、と保護者から声があがる。
ツライ、ツライ。苦しい、苦しい。
みんながしんどい。

子どもたちも、お互いのミスを指摘しあい、ののしりあう。
プレー中の声かけも、「そこ、何やってんだ」「2番は誰がマークするのかわかってんのか」と怒鳴りあう。
なんとも冷たい空気。ますます体は固くなる。

補欠メンバーの登場で、子どもたちも、大人達も、気持ちがかわっていった。
認めあう空気が生まれてきた。
○○君、頑張ってるね。上手くなったね。
ナイスプレー。ナイスパス。ナイスアシスト。
入らなくても、ナイスシュート。ナイストライ。
かける言葉が変わると、空気も変わる。
空気が変われば気持ちも変わり、表情が変わる。
体がしなやかになり、動きも軽くなる。
そして良いプレーが続いていく。

人と人との関係は、とても複雑。
サッカーのプレーでも、人間関係が良い方にも悪い方にも流れをもっていく。

メダルを逃した大会は、子どもたちにも悔しさを残しただろうけれど、何か違うものは得られたかもしれない。

決勝リーグではない、第二トーナメントに進んだ我がチーム。
二日目は全勝。
前日とは全く違う顔の子どもたちと、実力を発揮して良いプレー続出の試合展開。

子どもたちも、コーチも、保護者も。
きっと何かをつかんだと思う。













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Last updated  2004.08.17 09:46:37
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