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カテゴリ:たたずめば、たそがれ
書きたい気持ちと、書く気力がどうにも合致しなくて、自分の中が とてもチグハグだ。 タイトルも変えようかなあ、いや、このままで…とせめぎあうばかり。 Little Journey Of My Soul - 1 - - 2 -
伊豆へと向かう特急列車の中、気持ちは表面上は落ち着いていた(と思った)。 その時点でとりあえずできることは、全て済ませた。
見えない部分は、安心のためにできるだけはっきりさせなければならない。 警察へ遺体を引き取りに行くなど初めてのことなので、ネットにあった内容の 不明点なども、担当の葬儀社とのやり取りで確認。 私が警察へ着いてから遺体検案書の件などで諸々時間がかかることなども、 当然のことながら葬儀社は熟知しているので、大まかな到着時間は伝えておき、 私が署へ着いてから葬儀担当者へ電話することになった。
そう言った宗教的儀式は必要ないってことを、改めて自分に問い直してみる。 何せ具体的にとなると、一度も考えたことなどなかった。 死後24時間以上経過しているので、荼毘に付すに当たっても問題はない。
先々を考えて、自分の体をとにかく心配しなければいけないということ。 母の死を知ってから。いや厳密には最初に大家さんから電話をもらってから、 私が意識を向けると、共にいるこの" 何か "。 母の抜け殻と一夜を過ごす重要性を何一つ感じなかったので、 葬儀社に迎えに来てもらったら、その夜は葬儀社に預かってもらうことにした。
在住場所より寒い土地へ向かうため、重ね着が出来るように荷物を詰めた。 喪服は入る隙間はない。私自身は喪服は必要ないと思うのだけど、 もし伊豆で誰かが火葬場へ来たいという人がいたら、私は平服でいいのか?
靴まで持っていかなければならない。 荼毘にふすまでは良くても、その他諸々のことでヒールのある靴で、 あの坂道しかない場所を往来するなんてできないしなあ…。
その世間体ってヤツは、その後の面倒を見てくれるの?』
ああ、そうだった。 それが何のためなのかよく正体もわからないまま、子どもの頃から いつの間にか植えつけられてきた世間体と言う、たった5年ではくつがえらない 怪しいもの。 そんなものは適度に満たしておけば充分だ。 まだ始まったばかりで風邪でもこじらせたら、私の代わりはいないので、 後片づけが無駄に長引くだけ。
全く考えなかったっけ…。 よみがえる 世間体などと言うものに囚われると、何かが見えなくなるようだ。
受けたことと、間もなくばあばに起こった突然の難聴の理由が。 自分が果たすはずだった責任を放棄すると、払わなければならない代償が あって、人生ってそれでバランスが取れているんじゃないかって、そんなことを 考えたことはないかな…』 いえなかった。 実質遠隔で通夜でもしていたようなもんだなあと思った。
元々体力もない上に久しぶりの遠出。 気を抜くと時々ふっと気分が悪くなりそうになるのを、" 彼ら "と心で話しながら 気を紛らす電車の中。
でも今日の車内アナウンス、またあの人だね。 好きなんだ、この人の若々しくてやさしい声。 あの「〇〇です」の、「です」の言い方に特徴があって可愛い。 でも途中の駅までなのが残念だな』
湯河原駅の南向きの斜面に、日本水仙とほころび始めた梅の花。 まだ遠い春を、陽だまりが引き寄せたみたい。
ネットで場所を検索した時は徒歩数分とあったので、地図をプリント・アウト するまでもないだろうと思った。 駅員にでも訊こうと思ってたら、駅員がいやしない。
タクシー乗り場にもタクシーが止まっていない。 ありゃ、参ったなこりゃ。
数分ならいっかと思って、駅を出て右方向に見えた銀行へ道を訊きに入る。 すると、来た道と逆方向で踏み切りを渡らないといけないらしい。 なんせ、訊ねられそうな場所がそこしか見当たらなかったもので。 くっそー逆だった…荷物が肩に食い込む…(-_-;) でも駅へ戻るより、そのまま署へ向かいたかった。 駅の周りに、特にこれといった建物がここまでないとは…。
心情的にとにかく事の全てを、一分一秒でも速やかに終わらせたいと、 意識の片隅のどこかが泡立っていたと思う。
そのまま行って最初の信号を右へ…最初の…最…? 何ここ? 工場の中を道路が通っているような変わった場所で、信号も見えない。 とにかく人が歩いていないので、前に見えるその工場の門衛で、 もう一度訊いてみることにした。 地図を探してくれたのだけどすぐには見つからず、その間あまり途切れず トラックが出入りしており、運転手が何かをガードマンへ渡したり受け取ったり ということをしていた。
訊ねたガードマンに何度か言わなければならなかった。 車を止めた運転手にも、すみませんと謝りながら、なんだか業務妨害している みたいで申し訳なかった。
その道路で間違いではなく、とにかくずーっと歩いてくと、信号があるので 右側へ歩いていけば警察署の看板が見えてきますから、とにかくずーっと 歩いていってみてくださいとガードマン。
やっぱりその道は、一つの会社の工場群の真ん中を突っ切っている道路だった。 道路の両脇に出入り口がいくつもあったものだから、ガードマンは、 地図を見たほうがわかりやすいんじゃないかと思ったんだろう。
信号を右へ歩き始めてからはそうでなくなったけど、駅を出て銀行から その信号まで、急ではないもののずっと坂道なのにはまいった…。 徹夜した体に、持ちなれない重い荷物…。 荷物をロッカーへ預けに、駅へ戻る体力も気力もなく…。 あたしゃもう、若くないんよ。どこが徒歩数分だよ。はあ…暑い…。 マフラーを外す。 そうやって、なんじゃかんじゃやってりゃ、そのうち着くんであるね。
で、この後の数時間が、さらに濃くて…。 一報からだって平常時と比べたら私には充分濃かったのに、 いったいあの24時間はなんだったんだと思うほどいろんなことがあった。 まあ、徹夜したことも一つあるかもしれないんだけど。
始まったリレーのようなもの。 そんなものが、ず~っと途切れることなく続いたんである。 もしかたら、私が心身ともに弱っていたから、余計に敏感に感じられたこと かもしれないんだけれど、だとしたら、弱っていて良かったかもしれないと思える。
今になってもしみじみ思うのだった。 最初の頃に感じた空気の厚みのようなものが、今はもうない。 慣れたんだろうな。私ではなく、母がね。
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