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19日の晩、ある映画に見入っていた。 主人公の少し東洋的な顔立ちの女性の、とりわけ若い頃。 その瞳の神秘的な輝きと、あどけない印象があるほどの愛らしさ。 名前くらいは、誰もが一度は聞いたことがあると思う。
私の身近な女性にどことなくイメージがダブる事に気がついた。 女の私から見てもわかる。 その彼女は逢う度に、朝露に香り立つ花のように美しくなっていった。 2月になって、彼女が結婚を決意したと知った。 恋をすると女性が綺麗になるというのは、まごうことなく真実のようだ。
PVだったと思う。 「I've seen it all」曲名を聞いただけで、ああ、彼女か…とわかる人は、 かなりコアな洋楽ファンかもしれない。 私は曲名だけでは今でもまるでピンと来ないけど、歌声を聴けばそれが 彼女であることはすぐわかるだろうと思うほど個性的だ。
当時はどこが良いのかわからなかった。 つまり、私の好みではなかったということだ。 同時に彼女が主演したその映画が、かなり高評価されたという話題だったので、 映画は見たいと思っていた。 で、いつのことだったか、DVDになるのを待って観たのだった。
そのPVの映像に強く惹かれたのだった。 それは、そのPVを作った人物を起用した、彼女の感性やインスピレーションに 惹かれたということだと思う。
その頃たまたま伊藤君子さんの歌う「フォロー・ミー」に惹かれて、 アニメ「攻殻機動隊」の「イノセンス」を観た頃だったんだと思う。 (「攻殻機動隊」は、後にも先にもこの「イノセンス」しか観た事がない) 人間の特に男の愛玩用のアンドロイドに人間が施した、持てる者の欲望を 満たすための血なまぐさい別な欲望。
辻村ジュサブローさんの手による、怪しくも美しい人形たちにとても魅了された。 小さい頃から人形やロボットにほんのちょっと興味を持っていて、 あの二足歩行のロボットの開発は、大学での開発当時から非常に興味を 寄せていた。 なので、ニュースで開発が進んでいく過程を目にするたびにワクワクしていた。
あたかも生きているかのように、人の手で人形に命が吹き込まれ、 人形を操るその技術の素晴らしさ。
スピルバーグの「A.I.」や、ウィル・スミスが主演したアイザック・アシモフ原典の 「アイ・ロボット」。 アシモフが示した「ロボット工学三原則」と、心を持った故の葛藤の描写が もたらすロボットへの感情移入。
あるいは、やがては密かに宿ることを、人が知らないだけなのかもしれない。 心持たぬはずの人形(ひとがた)のものに愛憎が芽生える時、その息吹は どこから来るんだろう的な想像。
手放しても手放しても、なぜか友人の元へと帰ってきてしまうぬいぐるみの話は。 そんなどこかオカルティックなものも含めて、諸々の下地があって観た そのPVの映像に、私はいちどきにして心奪われてしまったのだった。 これがその動画なんだけど、驚いた。 Museもそうだったけれど、このPVもオフィシャルなのに、ブログ上で再生可能だ。 ★ Björk - All is full of love ★
★ネタバレが含まれれているので、望まない方はこれ以上読まない ほうがいいですよ。
ビョークが一児の母になっていたことを最近になって知った。 映画撮影時、彼女は本当に母親だったのか…。 そんでもって、さっき知った。 彼女は、その後娘を出産してるらしい。長男とは父親が違う。 現在は結婚してないっぽいよ…?
この映画はミュージカル映画なのであるが、それを知ってみたのかどうかの 記憶も曖昧なほど。 タモリさんではないが、私はミュージカルがあまり好きではないのだ。 あまりと言うか、テレビ放映で暇つぶしに見た程度。 なので、ミュージカルだと知らずにレンタルし、結末がどうだったのか全く 覚えていなかったので、もしかしたら最後まで観ずに返したのかもしれない。
でも海外の人がアップしてくれているので、残念ながら字幕はない。 あらすじをネットで探し、ネタバレでも構わないので読んでみた。 「この映画には救いがない」 そんなことを書いている人の多いこと多いこと。 そう聞けば余計に観てみたくなった。無性に観たくなったのだ。
空想の世界へと入っていくのだと、ブログに書いている人がいた。 それを読んで思い出したのは、私は巫病中に「音で会話」していた期間が あったこと。 イア・フォンから聴く音楽以外は、全ての音が会話に聞えたのだ。 その期間がどれくらいで終わったのかもう覚えていないが、音が音として 聞えるようになった時は、とても嬉しかったのは覚えている。
わかる英語だけが、すぽん!と頭に飛び込んでくる。 あれ、この俳優さんて…もしかして「グリーン・マイル」に出ていた背の高い 警官役だった人じゃ? そう思ったので途中で配役を調べたら、やっぱりそうだった。 もう一人の俳優も、女性刑務官も見覚えがあった。 一番驚いたのは、あの綺麗な人はカトリーヌ・ドヌーブだって? わ~お、知らんかった…引退してなかったんだ。 すっごく久し振りで見た…(@_@;)
逆にある程度展開がわかっていたので、ビョークの演技に集中できた。 ハンディカメラのようなカメラワークが、まるでドキュメンタリーを観ているような 生々しさをかもし出し、臨場感を増す要因になっていると思う。 そのリアルな雰囲気に呑まれ、なんだか途中から涙が時々止まらなくなった。 ハンディカメラの揺れが苦手な人は、観ない方がいいかもしれない。
そう言った人にとっては救いを感じられなかったんだろうが、そういう観方を する映画ではないのかもしれない。 字幕があったら、別な感想になるかもしれないんだけれど。 目を覆いたくなるような場面も出てくるのに、確かこの映画には「God」や「Jesus」 という言葉が一度も出てこなかったような。 私が聞き逃したのかなあ…。 けれどそのことで、メランコリックなありふれた感情を抱くことなく、 人間の根幹部分へと知らぬ間にす~っと入り込んで、思わず一緒に 叫び出しそうな程に思いが重なる。 ハリウッドではなく、カンヌで評価された何かが、そこにあるのかもなあ。 一人息子も同じ病気で、手術をしなければ同じように失明する。 子どものために懸命に働いてきたセルマだった。 セルマを救おうと、彼に必要なのは母親よ!という親友の言葉に、 「違うわ、彼に必要なのは目なのよ!」と刑務所の中の主人公は言う。 最後の面会で密かにセルマに思いを寄せて、親身に心配していたジェフが問う。 遺伝の病気がわかっていて、なぜ子どもを産んだのかって。 「赤ちゃんを抱きたかったの…」 彼女が言う。 ジェフの最後の言葉は、たった一度の「I love you」 観終わって、この主人公に救いがなかったのではなく、やっぱり 観ている人にとっての救いがなかったのだろうなあと思った。
不自然さを感じなかった。 列車や機械の音が刻むリズムで、自然に音楽の世界へ誘われるのに感心。 いやあ、それはもう、千の言葉を尽くしたって表現できまない「音による会話」 をした経験がそう思わせた感がありまくるかもしれんですね…。
だから回りにやさしい人が集まって見守ってくれる。 けれど現実は、容赦なくセルマの視力を奪っていく…抱えた日々の不安で、 妄想の中へ逃避するしかなかったセルマ。 触れられてなかったけど、もしかしたら彼女は、レイプによって妊娠したのでは? そんな風に思った。
「私はもう見るものはない」 この曲の和訳が、とてもすんなり理解できた。 もちろん全てを見た筈はない。 でも、もう必要なものは見た。 それでいい。 だって、必要なものは全て見たのだから。
★ Thom Yorke With Bjork - I've Seen It All ★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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