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2016.01.11
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カテゴリ:とりとめのない話

 

             30件以上も溜まっている下書きから、ようやく1件出せる。 

             2015年6月26日に下書きへしまっていたもの。

             なんだか不思議だ。これが成人の日の今日、下書きにあることに気づくなんて。

 

           *☆*:*☆*:☆*:☆*:☆*:☆*:☆*:☆*:☆*:*☆*

 

             いつだったか、時々「この人の行く末を見届けてみたい」と思う人がいる。というようなこと

             を記事に書いた覚えがある。そう滅多にはいないんだけれど、たぶん私がそう思った最初

             の人だったと思う。たまたま最近(2015年6月)、動画でその人の姿を見たのだ。思えば、

             2012年はもうテレビを観ていなかったので、ニュースは知っていたけれど、会見をすべて

             見てはいないと思う。


             その人を初めてテレビで観たのがいつだったかははっきり覚えていないが、その人が20

             代の前半だったことだけは間違いない。まだ学生のように若い男性が、図らずもマスコミの

             前で会見をする発端になった、あまりにも残忍で痛ましい、光市母子殺害事件。


             一審の無期懲役判決後の会見で、「司法が彼を死刑にしないのなら、今すぐ彼を釈放して

             ほしい。私がこの手で殺します」 と言った言葉は衝撃的だったけれど、偽らざる気持ちであ

             ろうことは私でさえ容易に想像ができた。そんな現実的でない言葉をこの聡明な人があえ

             て口に出したことで、法廷における被害者の遺族のただならぬ実情が、無知な私にも伝

             わった。


             おそらく多くの人が同じように感じていたと思う。テレビで姿を見るたびにその人は、言動も

             風情も目を見張るほど凛々しい人に成っていった。この人に課せられた厳しい立場上、そ

             うならざるを得なかったのかもしれないが、誰もが持ち得る素地ではないのは確かだ。


             この人が理路整然と発する、強いけれども思慮深く選んだ的確な言葉。人としての怒りや

             悲しみに悶え苦しみながらも、大人としての振る舞いを懸命に努めている様子も伺い知れ

             た。事件までの人生で培ってきた素地の上に、事件後の13年間の諸々に切磋琢磨された

             知性や理性。そして人間性。


             私は、これほど居住まいの美しい人は、他には簡単に思い浮かばない。そうそう当てはま

             る人に出逢えるわけではないので、軽々しく使いたくないのだが、「凛々しい」とはこういう

             人のことを指すのだと思う。


             不本意だろうけれど、この人でなけばならなかった何かがあったんだろうと、そんなことま

             でを感じさせる最高裁死刑判決後の記者会見の始終。一、二審判決の頃、まるで全身に

             纏った鎧のような張りつめたものが消え去り、ようやく重い重い肩の荷を降ろそうとしてい

             る安堵がうかがえる落ち着き。もしかしたら、そのように言ってはいけないのかもしれな

             い。見事な人だ。本当に。


             ネットの中を漁ると、この人に対しての荒んだ物言いも飛び交っている。想像力が著しく乏

             しくて、そこまで及ばないのであろう者たちは口さがない。愛する家族の命をああいった形

             で他人に奪われ、その無残な躯を自分が発見する。つまり第一発見者になるショックを思

             うことができれば、まるで彼の個人的な事実を妬み、羨んでいるかのような下世話で無責

             任な飛沫にはならないんじゃないかと思うけどもね…。


             映像は、「流れたものが全て」と捉えてしまいがちなものだし、会見の時の一分の隙もない

             かのような、知性のある言動と毅然とした態度眼差しから、完全無欠の孤高のヒーロー像

             を投影していた人も多いのかもしれない。ヒーローは孤独でなければいけない。再婚して

             幸せになどなっては、裏切りだとでも言いたげだ。


             かく言う自分も、例えばあのような人を、もしも政府の長として頂けたなら、この国はどんな

             国になるだろう。 あの頃も今もふと、そんな子どもじみたことを考えることがあるのだから、

             もう伸びしろも望めそうにない脳みそと魂とで、同じように捉えているんだと思う。


             一人に一つの人生が当然のことなんだけれど、あの役割は、この人でなければ歩めな

             かった人生だと、ことさらに思うほどに、もう、そっとしておいてあげなければいけない。

             日本の社会にとって、指針となりうる大きな大きな役割を、立派に果たした人。それだけ

             に、周囲の人には恵まれていた様子。もう知れ渡っていることだと思うが、会社に辞表を出

             した時の上司の言葉を書いておこう。


             「この職場で働くのが嫌なのであれば、辞めてもいい。ただ、君は社会人たりなさい。

             君は特別な経験をした。社会へ対して訴えたいこともあるだろう。でも、 労働も納税もしな

             い人間がいくら社会へ訴えても、それは負け犬の遠吠えだ。だから君は社会人たりなさ

             い。」

引用:「読書めも  

 

             他人がこうして聞いても、何という心強いものかと思うけれど、誰もが会社や上司に恵ま

             れ、こう言ってもらえるものではない。けれど、「社会人たること」「人間たること」


             この人はもう、行く末を見届ける必要がない人だと、改めて気がついた。30代前半で誰に

             も引けを取らないほどに人として見事なまでに成熟し、崇高な魂を持ち得た類稀な人だと

             思う。


             それは、大きな大きな代償を払った結果でもあるし、傷は一生消えないものだろう。

             手記に書かれていた。犯人が処刑されたら、自分は3人の十字架を背負って生きていく

             と。この覚悟に、少しでも平凡で穏やかな時間を刻んでほしいと思う。


             良い意味では、それこそ滅多に思わない事だけど、この人を育て上げたご両親にお逢い

             してみたいものだ。 ご本人とともに、ただ、ただ尊敬する。


             一方、最高裁で被告に死刑判決が下った時の会見を動画で最後まで観たが、記者たちは

             当然のことながら当初裁判や事件についての質問をしていた。ところが次第にある事実、

             これは再婚についてなんだけれど、それを本村さんの口から言わせよう言わせようとして

             いる様子が見てとれ、本村さんも思わず苦笑いしている。正直呆れる。質問をしている記

             者が気後れして、しどろもどろになるくらいなら、そんな質問はしなければよかろうにと思う

             けど、この声の若い記者達はもしかしたら上司から、何としても本人の口から言わせろな

             んてことを言われたのかもしれない。
 

             本当のヒーローは、空を飛ばないし変身もしない。日々勤勉に働いて、笑い、泣き、怒り、

             喜ぶ。もしかしたら酔っぱらったら少しくらいの愚痴をこぼす、電車で隣り合わせた疲れた

             おじさんかもしれないのだ。

             幸せになってもらわなくちゃ…ね。らんららんらら~ん♪

 

 


 






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最終更新日  2017.12.29 15:44:37
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