過日の通院時のこと。今日は空いているなあと思いながら会計を待つ私の斜め前で、大きな袋
に花束を入れた70代くらいの身綺麗なご婦人が、何やら事務員とやり取りをしていた。聞き耳
を立てていたわけでなく、距離が近いので耳に入ってきた。私が気が付いたときは、すでに何
度か押し問答していたと思われる。
女性は花束だけを見舞う相手に渡してほしいと、事務員に頼んでいた様子。別な事務員が入院病
棟に電話連絡したようだ。「患者さんご本人が、少しだけでもいいからお顔が見たいとおっしゃって
いるそうですので」と、見舞うご婦人に伝えた。急いでいる様子でもないのに、それでも女性はな
ぜか頑なに「花束だけ渡していただければいいので」と言い続けていた。
ご婦人は、声高に話していたわけではなく、普通の口調だったけれど、事務員らは明らかに困
っていた。
「(患者さんの)家に電話したら入院していると言うので、後で(当人が?)電話するってことだっ
たんですけどねぇ」とご婦人。どういったご関係で、どういった事情がおありなのかは存じ上
げないけれど、結果こうしていまご自身が病院まで来ているのに、事務員に託して帰るの…?
何度か「花束だけ…」と言った後、「また来ますから」とご婦人。忙しいならそう言うだろうけ
れど、私が気づいてからは一度も言わなかった。だから事務員も患者さんに会っていくことを
勧めたろうし、ナースステーションを通して患者さんに電話までしたんだと思う。なのに「また
来ますから」っていうのは?私がご婦人に気づく前に、急いでいるとでも言ったのかなぁ。
私は思いっきり首をかしげていた。事務員も内心首をかしげていたと思う。「〇〇さんがお見
舞いに来られましたが、花束だけ届けてほしいとおっしゃるので」とは言えないだろうし、言っ
たら次は患者さんが「なぜ?」ってことになるよねぇ。
別な事務員が何かを見かねて、お見舞いの女性に対応していた事務員を手招きし、ご婦人をチ
ラチラ見ながら何かを話し出す。そしてもう一人の事務員が再び病棟へ電話連絡。その人の申
し出に3人の事務員が関わりだした。こんなことは例のないことなんだろうと思う。そりゃそう
よね…。
と、ところで…私の会計は…
受付担当がそのご婦人で手詰まりになったため、会計を担当する事務員が急に続いて訪れた見
舞い客や患者の応対をしなければならなくなったのだ。
おそらく、私が首をかしげる様子を見たんであろう会計担当事務員が、やっと私の名を呼んで
言った。
「本当に、お待たせいたしました」<(_ _*)>
結局そのご婦人は、自分で花束をもって見舞っていくことになったようだった。
事務員さん…ファイッ!
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