仕方ないこととはいえ、今年も夜回りのない年の暮れだった。冷えた空気を切り裂くように、余

　　　　　　　　　　　　韻を残して年の瀬の夜に響き渡る拍子木の乾いた音は、子どもの頃とここへ越してきてからず

　　　　　　　　　　　　っと年末に聞いていた。それが聞こえないことがこんなに味気ないのかと、去年とても意外に感

　　　　　　　　　　　　じた。

　　　　　　　　　　　　疫病が治まったとしても、もしかしたらこのまま年末の夜回りは行われなくなるんじゃないかと思

　　　　　　　　　　　　ったりもするけど、季節の風物詩みたいなものだからそれはないかな？だとして、あと何年したら

　　　　　　　　　　　　再びあの拍子木の音を聞けるようになるだろう。

　　　　　　　　　　　　今夜は部屋の中に居て鼻の頭が冷たい。伊豆では毎度のことだったけど、この場所に越してき

　　　　　　　　　　　　てこんなことあったかなぁ。観測史上一番気温が高かったという2021年の大晦日なのに。

　　　　　　　　　　　　おまけに胃が痛くて、年越しそばが食べられそうにない。大晦日なのに…。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

​​​​★　Carpenters - The Uninvited Guest　★
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