山田詠美『蝶々の纏足・風葬の教室』
~新潮文庫、1997年~
表題作2編のほか、「こぎつねこん」を収録した短編集です。
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「蝶々の纏足」幼い頃、引っ越し先の隣家のえり子の「親友」になった瞳美は、ずっとえり子の引き立て役として生きていくことに気付き、えり子を憎み始めていた。しかし、恋愛だけは、えり子の先を行き…。
「風葬の教室」転校先の学校で、うまく過ごしていたはずの本宮あん。しかし、学級委員の恵美子が好意を寄せる先生からかわいがられてしまい、いじめの対象になってしまう。死を覚悟するあんだが、家族のいつもどおりの会話を聞いて、そしてある教師の雑談から着想を得て、彼らを少しずつ「殺していく」。
「こぎつねこん」母が歌ってくれた子守歌に恐怖を抱いた私。それから、とつぜん恐怖に襲われるようになってしまい…。
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吉本由美さんの解説にあるように、表題作2編はどこか共通する要素をもっています(主人公と対立する女子生徒、そして主人公を支える男子生徒の存在など)。そのうえで、私には「風葬の教室」が好みでした。
そして、好みの理由のひとつの、「自分は他人の日常の一部だ」という自覚は、内容紹介はうまく書けませんでしたが「こぎつねこん」にも通じています。
表題作に「纏足」や「風葬」という言葉があるように、3編ともやや重たい物語ですが(「こぎつねこん」はタイトルから優しいかと思ったらそうではありませんでした)、印象的でした。
(「蝶々の纏足」のラストのエピソードがまた、うまく理解できませんでしたが印象的です。)
(2022.12.11読了)
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