米澤穂信『本と鍵の季節』
~集英社文庫、2021年~
高校2年生の図書委員、僕―堀川次郎さんと松倉詩門さんの2人が活躍する連作短編集です。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
―――
「913」受験準備のため委員会を退いた3年生の浦上先輩が図書室にやってきた。おじいさんが残した開かずの金庫を開けるのに協力してほしいというのだが…。
「ロックオンロッカー」松倉と2人で美容院を訪れた僕。慌てたようにやってきた店長の言葉の意味とは…。
「金曜に彼は何をしたのか」職員室前の窓が割られ、生徒指導部の先生から目を付けられていた学生が呼び出された。僕たちに相談にきたその弟いわく、兄にはアリバイがあるが、それを兄は決して言わないため、一緒に証拠を探してほしいという。
「ない本」自殺した3年生の友人から、亡くなった生徒が読んでいた本を探してほしいと依頼を受けた僕たちは、詳しい状況を聞き取っていくが…。
「昔話を聞かせておくれよ」僕と松倉は、それぞれの昔話を語り合う。そして、松倉の父の秘密に近づいて行くことに…。
「友よ知るなかれ」その後日譚。
―――
これは面白かったです。
魅力的な謎、謎解きの妙、そして全体的にビターな後味の物語です。
冒頭の「913」から、思わぬ展開に引き込まれます。
その他、印象的だったのは「金曜に彼は何をしたのか」と「ない本」。それぞれの人の思いが印象に残ります。
朝宮運河さんの解説によれば、続編も予定されているとのこと。次作も楽しみです。
(2024.02.04読了)
・や・ら・わ行の作家一覧へ