外房の天然塩。『朝方塩』と書いて、『あつものしお』と読むそうだ。その昔、日が昇る方角を『朝方(あつも)』日が沈む方角を『夕方(いつも)』と称し、春秋の彼岸中日に出雲大社から富士山の御来光を望むと、その先にあるのが上総の里。すなわちチンピラ親父が毎週の如く通い詰める外房は、波道場周辺の地と言う事なのである。
ひょんな事から、昔ながらの製法で外房沖の海水から天然塩を精製している御仁がいることを知り、住所を頼りに尋ねてみると、実に味わい深い爺様が丁寧に応対してくださった。帰宅後、家人に説明し、昨夜の夕飯にて焼いた肉やら、野菜やらにかけて食すと、確かに通常使用の塩とは格段の違いがあった。爺様が言うには、「普通の塩ってのは、純度が高すぎるんだな。そいつは、実験だとかには向いているが、人間が食うには向かない。だから塩分は控えめがよろしいと言われるのさ。天然塩は純度が低い。それはカリウムやら、マグネシウムやらの色んな物質が豊富に含まれている事だ。つまり人間の体に優しいと言う事なんだよ。」と言う事だそうで、他にもチンピラ親父には難しい講義を拝聴したのだが、理論はともかく一口喰ったら、旨くて体に優しいって事は即実感できた。
この外房天然塩で、勝浦の鰹を喰ったら、きっと旨いだろうなぁ…。なんてマジで思った。なんつっても、外房で取れた魚を、外房の塩で食うってのが、かなり贅沢な感じがするのだ。きっと近いうちにやってやるぜぃ!