第二次エジプト滞在紀

天気が良かったのはつかの間で、また雨が降った。
冬にはよく降るとはいえ、その２、３ヶ月を除いてはカイロ以南でふることはまずない。そのため街には排水設備というものが皆無で、一旦降るとしつこく道路に残っている。そしてこの雨、空気中の埃を洗い流すので空は綺麗になるが、地面は絶望的に汚れる。もちろん服も。髪の毛も。

今日はゆっくり3時に起きた。やっぱり睡眠は不可欠。
カラム先生の奥様が貸してくださった炊飯器で１合ご飯を炊いて、春雨キムチスープを作って食べる。こっちにきてからというもの、すっかり食欲が落ちてしまい、好きなものでもあまり食べられなくなってしまった。
お陰でここ５，６年一切痩せるということを経験してこなかった私が、目に見えて痩せた。といっても元が元なのでたかが知れているのだが。
というわけで、せっかくつくった食事も途中で嫌になりさっさと終えてしまった。

そうこうしているうちにタンヌーラの時間が近づいてきた。昨日の疲れがまだ抜けきっていないので、のそのそ支度しているうちに６時になってしまった。タンヌーラは７時開演で、6時半に入り口の門が開くのでそれをすぎると人で溢れかえってしまうおそれがある。

駅に向かう途中、日本のキオスク程の規模の店で水を買った。携帯サイズの水はほとんどどのメーカーも1ポンド。店の人に1ポンド渡すと、もう25ピアストルだという。絶対1ポンドだったのに、なんで？？いつから？？と聞くとここ1ヶ月くらいで値上がりしたとのこと。釈然としないが仕方ないので1.25支払った。
地下鉄の料金はどこへでも一律75ピアストルである。細かいおつりが欲しかったので、10ポンド出して4枚買おうとしたら、おじさんが今日だけ50ピアストルだよ。二枚にしとく？という。キャンペーンなのかなんなのか知らないが、ちょっと得した気分だった。水で25pt.多く払った分が戻ってきたような感じ。

マイクロバス乗り場のマリクサーレフ駅に着いたのは６時２０分。奮発してタクシー乗っちゃうかと思っていたが、乗る気もないのにたまたまマイクロバスが目の前に止まった。雨が結構降っていたし、こんな時に限ってタクシーが来ないので乗ることにした。ただしサイイダアーイシャからは徒歩なので７時も絶望的だった。
「乗り場」といっても走っているマイクロバスを止めて乗るので、マリクサーレフからだとたったの25ピアストル（pt.エジプトポンドの補助単位。25pt.は1/4ポンド）。タクシーに乗ったら5ポンドくらいの予定だったので、20分の1の料金でいけることになった。日本には20倍も開きの出るような乗り物はないが、とにかくエジプトは交通費が安くてありがたい。
ところが半分くらい走ったところでなんとタイヤがパンクしていたらしく、交換が始まってしまった。運転手は5分だけだからと言っていたが、それではいよいよ間に合わない。乗客の男達が手伝っているのを横目に、結局タクシーに乗ってしまった。

外人の金持ち根性を見せ付けているようであんまりいい気持ちでなかったが、その甲斐あって今日は比較的早めに着いた。
今日は土曜日の割にはぎゅう詰め程でもなかったが、よく盛り上がった。前に座っていたイタリアのおばちゃんが大喜びだったのが印象的だった。

ところで今は冬で雨が降ることがあるため、屋根のある場所に冬限定の小さな舞台をつくり、そこで公演をしている。普段は会場に入る前の待合室のような場所なので、ここでパフォーマンスするのは大変である。また、普段の大きな舞台を知っている人には不評。わたしも事情を知っているので文句は言えないが、どうしても動きが限られてしまう為不満である。

そんな小さな舞台にもかかわらず、今日は二部？のタンヌーラの踊りはなんと二人出てきた。はみ出るんじゃないかと心配したが、ぴったんこのサイズでなかなか良かった。タンヌーラはサイードとアハマドで、ふたりとも去年の春頃のデビューでまだ若い。仲も良く、息もピッタリで観客を大いに楽しませていた。

タンヌーラからの帰り道、マハムードさんに明日日本大使館に行くように頼まれた。1月31日にタンヌーラから2名、シャルキーヤ民俗舞踊団から6名、日本に出来る予定のエジプト博物館の開館式典に呼ばれている為だ。日本側はタンヌーラよりもベリーダンスの女の子が欲しいらしく、タンヌーラがメインではないのでマハムードさんは行かない。
文化省のオスマーンさんを代表者としての旅行になる。その全員分の「文化ビザ（？）」のアプリケーションを取ってきて欲しいというのだ。幾ら事情を説明しても日本人の私が文化省がどうこうといって書類をもらえるのだろうか。
自分のビザの延長手続きがまだなので、ついでにそれも明日することにしよう。

ところでイブラヒームに聞いたところ、1.5リットルの水を昨日1.75ポンドで買ったという。以前は1.5ポンドだったので、やはり値上がりしたようである。