取締役を一人減らすため…4
さらに取締役会を廃止する際に避けられない問題があります。それは、これまで何度か話に出てきた「株式の譲渡制限に関する規定」の存在です。従来からの株式会社の大多数においては、株式の譲渡制限に関する規定が定められています。この内容は各社の商業登記簿を見れば確認できます。具体的には「当会社の株式を譲渡するには『取締役会の承認』を得ることを要する」と定められている会社が大多数だと考えられます。しかし、会社の取締役会が廃止されてしまうと、株式の譲渡は取締役会の承認を得なければならないため、「誰に承認を受ければいいのか?」という事で制度上の矛盾が生じてしまいます。このため、取締役会を廃止する場合には、同時に株式の譲渡制限に関する定めも、たとえば「株主総会の承認」に変更する必要が生じてしまいます。そしてこの譲渡制限に関する規定は登記事項=変更の登記申請が必要となります。つまり、取締役会の廃止と同時にこの譲渡制限に関する規定の変更手続が必要となります。(同時に行わない申請書は取り下げを求められます)さらに、譲渡制限に関する規定の変更についても別個の登録免許税が必要とされています。そしてその登録免許税は3万円です。(その他の変更登記手続=登録免許税法別表第一・第19号(一)ネ)というわけで、従来からの株式会社で「取締役を一人辞任させる」登記申請のためだけに、「取締役会の廃止」で3万円「取締役の辞任」で1万円(資本金1億円以上なら3万円)「株式の譲渡制限の変更」で3万円の合計で、なんと最低でも7万円の登録免許税が必要となってしまうのです!(続く)参考になりましたなら、クリックをお願い致しますm(_ _)m