テーマ:音楽(282)
カテゴリ:音楽・楽器・歌
この写真の不思議なピアノは、 私の実家にあったものです。 母が音楽家だったので、 亡くなったあと、 このピアノ、 レッスン場のグランドピアノ、 壊れたチェンバロ、 の三台を 私がずっとお世話になっている調律師さんに 引き取っていただいたのですが、 この二段鍵盤のアップライトについては 非常に驚かれて、 仕組みを調べたり、 歴史を調べたりしているうちに、 もう今では現存しているのは 世界にこの一台だけだということで、 作者の大橋親子 (日本楽器→ヤマハ→大橋ピアノ研究所) のご家族にも話を聞きに行かれて、 大橋ピアノについての本が出て このピアノの取材もあるということと、 他の調律師仲間が見に来たいと言うので 博物館に入れてしまうと触れなくなるので、 いまだにその調律師さんのお宅に 保管されています。 まだ家にあった頃に撮影した写真。 ★蓋を閉めてある状態 ★上のメイン鍵盤を出した状態 ★下の鍵盤を引き出した状態 ★カバーを取ると、少し細い鍵盤が出てきます。 かつての実家は、 住居用の家と、レッスン場の 2つの建物があって、 二段鍵盤のピアノは 住居の方にあって、 その家は私が中学生の頃に建ったので おそらく、それまでは 地続きの母の実家のほうに 置かれていたと思います。 母が育った家庭は裕福で 祖父が芸術家たちと親交が厚く、 よくサロンコンサートなども開いていたと 母から聞いていたので、 おそらく、作者の大橋さんから 祖父に贈られたのではないかと 推測しています。 さて、そんな大橋さんのことを中心に 日本のピアノの歴史についての 興味深い本が出版され、 そこにこのピアノのことも 載っています。 <幻の国産ピアノ”OHHASHI"を求めて ~いい音をいつまでも~ > 長井進之介(ピアニスト/音楽ライター) 出版:創英社/三省堂書店 この本によると、 二段ピアノに関しては、 非常に「特異な存在」として 【抽出式二重鍵盤堅型】 ということです。 設計と製作は、大橋親子の父、 大橋幡岩が、ヤマハに所属している時期に 行い、 東京博覧会に出品されたそうです。 下の鍵盤同士の幅が少し狭くなっているのは おそらく親子での連弾などを想定 していたのではないかと 思われるそうです。 そして、仕組みについても書かれており、 実家から調律師の家に渡ったピアノを 撮影した写真も掲載されています。 このピアノが実家にあったころは そんなに貴重なものとは知らず、 私はユーミンの楽譜で弾き語りをしたり、 幼かった弟は下の鍵盤の上を歩いたことさえ あったそうです。 それだけ、頑丈な作りで、 象牙の鍵盤は弾きやすかったです。 博物館に入れると、もう誰も触れなくなるので できれば、なるべく調律師さんのお宅に 保管していただき、 今後を担う若いピアノメーカーの方や 調律師の卵の方の 勉強にも使っていただけたらうれしいです! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020年02月10日 14時00分55秒
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