カテゴリ:思い出の数々
何だかヘンテコリンなタイトルだと思われる方もおられよう。
そう、昔の私は世渡りが下手だった。 私はどちらかというと、人に頼まれると「イヤ!」といえない弱い性格だった。 そのため、懇願されると断り切れず、ついつい引き受けて後で後悔することが度々あった。 そのひとつが、他人にお金を貸してそれがなかなか返してもらえないことだった。 まだ独身時代、職場の先輩に頼まれ簡単に小遣いから貸してしまった。 ところが約束の日が来ても返してもらえない。 何度も催促に足を運ぶが、その都度新しい口実で引き延ばしされ、1ヶ月の約束が半年に伸びてやっと返してもらった。 次は、やはりある関係の組織の長から懇願され、やむ終えず金融機関から借り入れまでして用立てやったことがある。 ちゃんと借用証もかいてもらったので安心して。 もちろん結婚してからだったが、妻には内緒だった。 ところが、それからしばらくしたら、その借り主が破産手続きを。 理由は、友人の保証人になったが、その友人が事業に失敗し夜逃げをしたため、保証人の借り主に取り立てが入り、やむ終えず破産に追い込まれたというもの。 私から借りたころも、その金のやり繰りの段階で、本当のことを言わず借金をしたのだった。 もちろんその時は知る由もなく、事実が判ってから「裏切られた」という悔しい思いだけが残った。 後で私と同じように貸した人が何人もいることが判明。 たしか30万円くらいだったが、もう返らないものと腹をくくり妻に告白。 妻には私の人の良さ(本当はバカがつく?)をなじられたが、ひたすら平身低頭で謝るしかなかった。 その後数年して、会社が仲介に入ってくれ、いろいろやり繰りの結果全額返ってきたので、利息分だけの損失で済み、ホッとしたことを思い出す。 そんな失敗から、リスクのある頼まれ事は、勇気をもって「ノー!」というべきことを身を持って体験した。 とかく人から「あの人はいい人」と思われたく、つい安易に引き受けてしまう習性が私にはあった。 でも、相手は決して「特別いい人」なんて思っていない。 ただ単純に「頼めば引き受けてくれる便利な人間」くらいにしか評価していないとしたら、こちらの立つ瀬がないというもの。 この世の中、本当に困っているひとを助けてやることは大切なことだ。 でも安易な善意は、必ずしも正しく通ずるとは限らない。 むしろそれが仇となって後で苦しむくらいなら、少しくらい評価が下がっても「ダメです!」と答えられる方がどれほど楽か。 こんなことを今日は思い出して綴ってみた次第です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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