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カテゴリ:徒然日記
子供のころ住んでいた家は、京葉工業地域に隣接する地区にあった。 海岸沿いには、火力発電所、造船所、石油化学コンビナートなどが建ち並び、 街中のどこからでも工場の煙突が見えた。 昼夜を問わず操業する工場の音や、工場へ出入りするトラックの音が、ゴーゴー響いていた。 港に入る貨物船の霧笛なんかも聞こえた。 1年中、昼も夜も、静かになることは無かった。 化学工場で爆発事故があって、その爆音で窓ガラスが割れてケガをしたクラスメイトがいた。 空気は汚れ、春から秋にかけて、光化学スモッグ警報が発令されて、屋外での活動が制限されることが度々あった。 夜になると、工場の明りは月よりも明るく、煙突から噴き出る炎が夜空をオレンジ色に染めていた。 夜空に星なんかまったく見えない。 子供のころ、そうしたものを不快に感じたことはなかった。 むしろ、夜空を明るく照らす工場の明りや、夜の静寂を破る工場の音に、人間の生命の力を感じた。 そうしたものに包まれいることに安心感があったように思う。 でも、 大人になって、嫌になった。 だから、田舎へ引っ越した。 今、住んでいる地域は静かで、夜空は星がたくさん見える。 夜は、静かで暗い。 しかし、 静かで暗い夜が、 怖い・・・ [by NAGたま] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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