それ、行くよ!遅れるな!
前回の原稿用紙版、自作小説です。文才ないのですが、まぁ、更新したいと思いやす。=========================その場で体が震えていた。力が入らない。それは中野も同じようで、呼吸音すらおかしい。そんな俺たちを不敵な笑みで見つめる少女がいる。森下ゆかり、齢(よわい)、十五。世界が歪む。病室の窓から影を感じる。俺はそのば場で振り返った。何かがいた。恐ろしく、怖い、何か。獣、化け物、怪物、妖怪。言い表し方は何でもいい。逃げないと・・・・本気でそう思った。その場をなんとか立ち上がる。中野も同じだ。そのまま俺たちはふらつく足で猛ダッシュ、病室を出た。なんとか走れたのは、廊下の最初の曲がり角までだった。「ハァ、ハァ、、、」距離にして数十メートル。俺と中野の限界のメーターは振り切って針が折れそうなぐらいだ。呼吸すらまともにできない。横にいる看護師に助けを求めようとするが、その看護師ですら、その場に静止している。「どう、し、たんだ?」中野がいう。かすれた、低い声で。「断域よ」いつのまにか隣にいた森下が平然と答えた。「だん、いき?」「魔物が出現する際に発生する異次元空間。現実とは違って、ここでは時間なんて存在しないの。何でこんな空間が発生するのかは、いまだに研究途中よ。でも、ここで出だ被害は、現実にはその一万分の一の被害しか出ないわ。一万人死んで、やっと誰かが一人死ぬぐらい。普通の人に見られる心配もないから、ここでは思いっきり戦えるわ」「俺と、和田ちゃんは?」「言ったでしょ。あなた達は精霊術師。人じゃないから。感じるはずよ、その力をね」「力・・・・・」顔を上げる。怪物はそこにいた。長く続く廊下の先で怪物はこちらを見ている。ぞくり、と全身に鳥肌が立つ。その怪物から感じる殺気。俺の本能が伝えてくる。ごくり、と息を呑む。背筋を冷汗が流れるのを感じた。その時・・・・。「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」中野が壊れた。突如、立ち止まり両手を天に仰ぐ。「ふずわけるぬわぁ!!!!」叫んで走りだした。両手をこれでもかと大きく振る。敵に向かって中野は走り出した。同時に中野にむずのベールのようなものができる。その後、中野は敵、怪物に突進した。結果。見事に中野は鋭い爪の餌食になり空中に飛ばされきれいな放物線を描いて戻ってきた。(続)