オカリナで楽曲を演奏する時に、必ず心掛けていることがあります。それは、その楽曲の元の楽譜は何調で書かれているか？ということです。

今日はクラブオカリナ岐阜の練習日。メンバーのお一人が、ベット・ミドラーの “The Rose” の楽譜を持ってこられました。見るとその楽譜は、ト長調になっています。私はト長調の “The Rose” の楽譜を見るのは初めてなので、お聞きしたら、伴奏もト長調になっているそうです。

ベット・ミドラーの “The Rose” はご存じのように、愛についてとても深く掘り下げて歌っている楽曲です。その “The Rose” が、ト長調とは、私はにわかには信じ難かったのです。

ト長調の楽曲は、どちらかといえば明るく軽やかで、流れるような響きを持つ楽曲が多いから、です。

私は “The Rose” は素朴で安定感があると言われるハ長調だと思っていたのですが、オカリナの楽譜では、ヘ長調に移調されていて、ハ長調よりも少し華やいだ美しい情感になるので、多少の驚きと、まだヘ長調だから、ヘ長調の持つ美しさがあって、良いかと思って、皆さんと教室で吹いていました。

それが、ト長調になると、「ちょっと待ってよ」と、言いたくなったのです。“The Rose” を、明るく軽やかで、流れるようなト長調で吹くのは、似合わないように思われるのです。

私はベット・ミドラーが歌っているのは、ハ長調とばかり思いこんでいましたので、早速、帰って確認してみたら、やはりハ長調で歌っています。それに、他のソロ楽器による、色んな “The Rose” の演奏がすべてハ長調です。

色んな歌手が、自分のいちばん歌いやすい調子で歌って、あとでそれを楽譜にすると、♭が５つだったり、＃が４つだったりする楽譜が珍しくない昨今、やはり “The Rose” はハ長調で演奏するほうが、本来の持つ情感を表現するのに、最適だと思うのです。