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カテゴリ:教養
オペラ『鑑真東渡』のステージは、とてもユニークで、まずステージの左隅に、一人の僧侶がおもむろに胡坐をかいて座るところから、始まります。この僧侶、何を語り始めるのかな?と思っていたら、オペラの進行中、何度か読経している他は無言で、ただ胡坐をかいているだけで、いわばこのオペラの象徴のような存在でした。 この僧侶は俳優ではなく、本当の僧侶で、このような配置と役割自体、非常に斬新な印象を受けました。ステージは天井から床まで届く長く白い帯状の布が数え切れないくらい沢山ぶら下がっていて、その布を束のようにして、俳優が演じるという、これまた変わったステージを、印象付けているのです! また広いステージを取り囲むように、周囲に張り巡らせた、透けて見える白い布も、その向こうを通り抜けてゆく俳優が見え隠れして、今度はどんな俳優が、何を演じるのかな?と想像を掻き立てられる演出です。 俳優の声は素晴らしく、全く西洋オペラを聴いているようで、言葉が中国語であること以外は、西洋オペラと同じ印象を受けました。 また、和琴と中国琴が、折に触れ別々に、あるいは一緒に演奏され、まさしく日中友好を、お琴の演奏を通じて、表現しているのです。 第一幕は、4回目の渡航までで、その休憩の時に、いつも岡梨奈孝至がしている、ステージの下のオーケストラ・ボックスを、覗きに行きました。そこは所狭しと言わんばかりに、たくさんの楽器が、ひしめき合っているところです。 オペラといえば、私の観たオペラはどれも、ハープ奏者がいて、演奏に加わっていました。今回のオペラ、『鑑真渡東』も、ちゃんとハープがしつらえていて、その存在を主張しています。ところが、そのハープの音色が、なかなか聞こえてこないのです。 だいたいどんなオペラでも、オーケストラでも、ハープのコンサート以外は多くの場合、脇役で、チョロっと聞こえてくるだけの場合がおおいのですが、ハープ奏者のギャランテイーは、どうやって決めるのだろう、などと変なことを考えてしまう岡梨奈孝至です。 今回のオペラでも、いつ、どんな場面で、ハープが出てくるのだろうか?と一生懸命耳をそばだてていました。すると、6回ある各場の最後の部分で、演奏されていました。 ただ今回のオペラの主役のひとつは、やはり和琴と中国琴の競演にあるように印象付けられていました。 今回のパフォーマンスは、「素晴らしい!」の言葉以外に、なかなか適切な言葉が浮かんできません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年07月14日 23時34分53秒
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