愛妻エウリディ―チェを冥界から取り戻せなかったオルフェウスは、地上へと戻ってきますが、二度と竪琴を奏でることもなく、あたりをさ迷い歩いていました。
ある日オルフェウスは、知らない間にトラキアの女性たちの祝宴に迷い込んでしまいます。そこでトラキアの女性達に竪琴を奏でてほしい、と頼まれるのですが、愛妻エウリディ―チェを失って失意どん底のオルフェウスは、首を横に振るだけです。いくら熱心に頼まれても、竪琴を奏でようとはしません。
そこで怒ったトラキアの女性達は、石を投げてオルフェウスを打ち殺し、竪琴もろともオルフェウスを、川に投げ捨ててしまいます。
この竪琴は、ひとり美しい調べを奏でながら、やがて小さな島に流れ着きました。島の住民や芸術の女神ムーサイは、オルフェウスの死を憐れんで、せめていつも持っていた竪琴を夜空に上げ、琴座となりました。
もう一つの説は、美しい調べを奏でながら、川を流れている竪琴を、父ゼウスが哀れに思い、拾い上げて天空の琴座とした、と言われています。
オルフェウスが太陽の神アポロンから授かった金の竪琴が、琴座となって真夏の夜、天空に輝き続けているのです。
この琴座のいちばん輝いているVegaと呼ばれる恒星が、中国を経て日本に伝来した、年に一度しか会えない、いわゆる『七夕』伝説の、織姫と呼ばれる星です。でも年に一度会えるから、オルフェウスよりも幸せなように思われませんか?
琴座をラテン語で “Lyra” と言い、ギリシャ語の「竪琴(ライアー)」を意味します。英語では琴座を “lyre” と綴り、「ライア」と発音します。
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最終更新日
2018年05月30日 11時24分08秒
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