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2020年05月22日

先人達の名演奏～日本の古楽器『和琴』とギリシャの竪琴～

カテゴリ：感動

日本の古楽器のひとつで代表的なのが、『和琴』です。古くは弥生時代から古墳時代にかけての遺跡から、和琴を模した埴輪が、出土しています。

この和琴は、うつぼ物語や源氏物語にも登場し、特にうつぼ物語は、遣唐使として派遣された俊蔭が遭難して、漂着した波斯国（はしのくに）から、23年ぶりに帰国した時に12の琴を持ち帰ったのが、和琴の祖とされています。これは物語の上でのお話です。

この和琴は桐の胴に6本の絹絃を貼り、楓の枝の柱（じ）を立て、琴軋（ことさぎ）という義甲（爪に代わるもの）で、演奏します。

とても興味深いのは、うつぼ物語で、主人公の俊蔭の娘が、天皇の御前で和琴をかき鳴らすと、御殿の屋根瓦が粉々に砕けて、花のように散った、という記述です。
楽器の演奏があまりにも秀でていて、人間の演奏の域を越えている様子の記述として、とても興味深いですね。

この記述は、ギリシャ神話に登場する竪琴の名手、オルフェウスが、太陽神アポロンから授かった金の竪琴を演奏すると、鳥獣はおろか、木々や石までオルフェウスの奏でる調べに、引き寄せられてきた、という有名なお話を、想い起こさせてくれます。

山の中でオカリナを吹いていますと、小鳥たちがさえずり始めるのは、皆さんも経験されていると思いますが、木や石、瓦まで感動させるとは、誇張があるとはいえ、すごいですね。

　　　　　　　　　　　　天皇の
　　　　　　　　　御前で和琴を奏でし時
　　　　　　　　　花のごとく散りし
　　　　　　　　　屋根瓦かな

　　　　　　　　　　　　　　　　　　竪琴を　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　奏でて木石を引き寄せし
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ギリシャのオルフェ（注）の
　　　　　　　　　　　　　　　　　　名演奏かな

　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　
（注）オルフェウス（Orpheus）の英語読み

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