『ノモンハンの夏』
今、半藤一利著『ノモンハンの夏』を読んでいる。出稼ぎ生活にも慣れてきて、本を読む余裕も出てきたという感じだ。ところで、朝日新聞のデジタル版に「第二次世界大戦 愚かさの序章 ノモンハン事件」と出ていたのを、チラッと見たのだが、検索しても見ることができなくなった。タイトルがショッキングすぎるから削除されたのか。まさしく、「愚かさの序章」という感じなんだけど…。辻参謀というのが、すごくやり手で、好戦家。その人が、リードして、ろくろく相手(ソ連)の実力も考えないで、「ノモンハン事件」で、たくさんの将兵が戦死した。辻参謀がこれらの将兵を殺したと言っても過言でない。というのは、この辻参謀の「徹底的にソ連を叩こう」という意見がなかったら、ノモンハン事件は起こらなかった。要するに近代化したソ連軍を過小評価して、モンゴルと「満州国」の国境紛争だったのが日本陸軍の一個師団が全滅に近い損害を受ける大事件になった。その誤った判断を下した参謀達が処分もされないで第二次世界大戦をリードしていった。著者は辻参謀の手記を引用しながら、「いい気なものだ」と嘆息している。ノモンハン事件の遺族がこれを読んだらどんな気持ちだろうと思った。そのとき考えて、良かれと思ったことが全否定されている。こういったろくでもない人が戦犯にもならないで、戦後もそれなりの地位についていたというのも驚きだ。