眠れる留学生―日本語学校の実態
日本語学校の留学生は大半が卒業後、専門学校などに進学することを望んでいる。そして、その後は日本の企業に就職したいと思っている。 それだけ、母国では働き口が少なくて、賃金水準が低いからだ。日本には「稼ぐ」ために来ていると思われる留学生も少なくない。今教えている日本語学校では、出身国はベトナムが六~七割で、次にスリランカ、中国、ネパールだ。授業中も熱心に先生の話を聞く学生は稀で、スマホを見たり、居眠りをしたりしている学生が多い。数年前は中国や韓国出身の学生が多くて、二年間の在学中に、かなり話せるようになって、N1、N2を取る人も多かったそうだ。ところが「非漢字圏」の学生が増えたころから、日本語の習得が遅くなり、二年いてもN3すら取れない学生が増えている。留学生のアルバイトは週二十八時間以内と決められているが、時間当たりの単価が高い深夜のアルバイトをする人が多い。それにアルバイトをいくつも掛け持ちして、制限をオーバーして働いていると正直に話す学生もいる。週二十八時間の制限を守っていたら、日本語学校の授業料やその後の専門学校の学費を払えなくなってしまう恐れがあるからだ。制限を守ってアルバイトをしていたら、月十万円ほどの収入にしかならないが、うちの日本語学校の学費は年約六十六万円、それに専門学校の学費も安くても年六十~七十万円だ。それを考えるとオーバーワークは止むを得ないのかな、とも思ってしまう。先に書いたように日本語学校では授業中居眠りしたり、スマホを見ていたりする学生が多い。果てはボーっとして、何を考えているか分からないような学生までいる。それもこれも、彼らの来日目的が「稼ぐ」ことにあるからだが、教師の側としては、その対応に難しさを感じている。今いる学生(二年目)には、入学当初は厳しく接したが、最近はスマホを見ていても、見て見ない振りをすることが多くなった。これだけ勉強に不熱心な留学生が、揃いも揃って進学を希望するんだから矛盾を感じる。