東北の駅の乗車人員を考える
JR東が6月に発表したデータで、06年度乗車人員ベスト100を見てみると、東北の各駅はやっぱり上位にはほとんど見えない。トップの新宿駅の757千人に象徴されるように、首都圏の圧倒的人口集積と鉄道利用割合を反映しているのだが、何とか東北の駅を拾ってみた(数字は一日平均)。ベスト100に辛うじて入ったのが、54位の仙台で76,162人。あとは100位以下だ。比較のために一部の北関東地域の主要駅もプロットしてみた。新潟 36,769宇都宮 35,773熊谷 31,620水戸 28,859高崎 28,280長野 21,662あおば通 21,298郡山 18,380盛岡 17,956松本 15,367福島 15,033古河 14,443秋田 12,387長岡 11,308山形 10,963この後は、1万人未満だ。東北の主要都市では、青森駅(8,348)、いわき(6,828)、古川(5,011)、八戸(4,950)、一関(4,471)、石巻(4,392)などと続いていく。青森や八戸は意外と少ないものだ。そして、この辺りのクラスには、仙台周辺の通勤通学需要の高い駅が、これら主要都市の中心駅と肩を並べている。例えば、南仙台(8,165)、岩沼(7,153)、多賀城(7,126)、名取(6,976)、長町(6,050)、宮城野原(5,478)、陸前高砂(4,669)という具合だ。八戸より宮城野原が多いわけで、スポットとしての都市集積や拠点性ではなく、面的連続性としての都市集積に依存するマス・トランスポートの特性がよくわかる。首都圏と東北の対比が、そのまま仙台周辺とその他の東北の地方中心都市との関係にパラレルに投影されている。意外なほど低いのが、会津若松(2,971)、米沢(2,499)、酒田(1,717)、鶴岡(1,437)、大館(1,099)など。弘前(4,426)も少なめだと思うが、私鉄の影響もあるのだろうか。下馬(3,529)、塩釜(3,392)、本塩釜(3,089)、東塩釜(2,372)などは単体では少ないが駅相互の距離が短いことを考慮すれば(つまり、相互に取り合いにならず各駅が需要を保つ状態)、連続する地域全体での鉄道利用率は相当高いのだろう。松島海岸(1,038)、平泉(465)、遠野(405)などは少なすぎ。鉄道ももっと観光客の呼び込みを考えましょう。ちなみに逆トップは、区界駅(岩手県、山田線)の5人。統計の対象は有人駅だから、全部の駅で言えばもっと利用の少ない駅もあるだろうが、統計上では例年堂々のトップだ。盛岡と都を結ぶ街道の峠にあたるこの駅は、東北の駅の中では、標高も堂々のトップです。