青森県と軽自動車を考える
東北運輸局が毎月管内の新車新規登録台数を発表している。経済活動の1つの主要指標として注目されるのだが、最新の本年8月分を見ていて、気になった。青森県だけが、乗用車(3・5ナンバー)の新車新規登録台数1,583台よりも、軽自動車の1,643台の方が多い。なお統計の構成は、乗用車、貨物(1・4ナンバー)、小型二輪、その他(バスなど)、軽自動車。軽自動車には軽トラも含まれるだろうから、「軽自動車」の選好度合いを絶対数で比較するなら相手は「乗用車」で良いとは言い切れない。あくまで軽自動車が多いという目安として、「乗用車」を上回るかどうかの点を見ているもの。さらに言えば、これは新車の登録台数だから、中古車の登録状況、そしてストックとしての保有状況もみれば、さらに選好状況がわかるかも知れない。また、世帯で何台持っているか、営業用と自家用車との関係も興味深い。全国的には例によって北陸地方が世帯当たり保有台数が多いようだが、東北でも山形県などは全国上位だ(資料)。所得や事業所統計とも相関するかも知れないが、年齢構成や地域交通事情に相当左右されるだろう。統計に戻るが、管内合計では乗用車12,536台、軽自動車9,932台。全般的には8か月連続で、前年同月比マイナスなのだが、乗用車のうち小型(5ナンバー)は23か月連続減だが、普通車(3ナンバー)が6か月ぶりに増加し、しかも各県で増加しているのが特徴的だ。青森県でも、普通車はなんと43.3%増加の589台とすごい。軽自動車は減少しているのだが、それでも上記のように青森だけが乗用車全体よりも多い。なぜだろう。経済的な県民性か。それともリンゴ農家が軽トラックを数多く持っているとか...平成18年度分の統計を見ると(東北運輸局資料)、次のとおり。単位は台。---------- 乗用車 軽自動車青森 24,891 29,638岩手 24,789 24,621宮城 55,982 41,280秋田 23,040 23,700山形 28,361 26,074福島 47,775 36,184管内 204,838 181,497全国 3,019,838 2,030,570----------岩手もギリギリだが、秋田と青森で軽自動車が上回っている。この状況は何に由来するのだろう。有意な解釈ができるかどうか、全国の都道府県のデータを見ようと思ったが、国土交通省で月例や年次のデータをまとめていると思うのだが、すぐには見つけられなかった。そこで各地方運輸局のホームページを見て、青森のように軽自動車が乗用車を上回る都道府県を探した。----------○中国運輸局(7月) 鳥取(乗958 軽1,113) 島根(乗1,300 軽1,655) 岡山(乗3,269 軽3,386) 山口(乗2,800 軽3,037)----------つまり、中国では広島以外は軽自動車が多い。管内全体では乗用車が多いのだが。また、中国運輸局では保有車両数も公表しており(同じく7月分)、鳥取、島根の2県で軽自動車が乗用車を上回っていた。他に見つかったのは九州。ここは新規登録ではなくて、保有台数だ。軽自動車が乗用車を上回る現象の県は次のとおり。----------○九州運輸局(平成19年3月末の保有台数) 佐賀(乗272,599 軽290,633) 長崎(乗373,874 軽451,393) 宮崎(乗380,516 軽421,438) 鹿児島(乗543,186 軽611,611)----------と言うわけで、福岡、熊本、大分以外が該当した。