東北の新車販売実績激減を考える
大変失礼しました。東北運輸局のリリースは3日にあったようだ。全国で27%のショッキングな減少となった新車販売実績を取り上げて、東北のデータが出たら記すとしていたので(昨日の日記)、同局のサイトから資料を確認し、早速以下に記します。まずは、東北運輸局のデータの要点を。------------○東北(6県)全体では、対前年同月比16.2%の減少。 全体 △16.2% 乗用車 △27.0% 軽自動車 0.0%○県別の状況(単位:%) 乗用車 軽 全体 (普通+小型) 青森 △22.0 △3.4 △14.5 岩手 △25.1 4.8 △12.0 宮城 △27.0 4.4 △15.9 秋田 △29.1 △5.1 △18.5 山形 △27.7 △5.0 △17.5 福島 △29.0 1.4 △18.0 管内 △27.0 0.0 △16.2 全国 △27.9 △0.7 △18.2------------全国データでは、次のように報道されていた(12月1日)。 ○全体で18.2%の減 ○登録車27.3%の減(日本自動車販売協会連合会=自販連) うち普通乗用車32.4%減、小型乗用車24.1%減。貨物車23.8%減 ○軽 0.7%の減 (全国軽自動車協会連合会=全軽自協)なお、上記の東北のデータは「乗用車」を引用したので、登録車全体ではなく、その一部という関係ではあるが(他に貨物車など)、傾向を見るには大きな支障はなかろう。全国の動向としては、近年の販売不振も何とか軽で持っていたが、いよいよ軽も含めて減少に陥った、という評だった。東北で見ると、なんとか軽自動車で踏みとどまっている、と一応言えそうだ。ここで、普通車と軽の比率を考察してみる。------------○10月の新車新規登録台数 - 乗用車(普通+小型)と軽の台数比較 乗用車 軽(k) 全体(z) 軽のシェア(k/z,%)(カッコ=H19.11) (普通+小型) 青森 1,648 2,034 4,005 50.8 (44.9) 岩手 1,644 1,999 4,006 49.9 (41.9) 宮城 3,480 3,197 7,306 43.8 (35.2) 秋田 1,294 1,695 3,231 52.5 (45.1) 山形 1,698 1,801 3,797 47.4 (41.2) 福島 3,021 2,763 6,269 44.1 (35.6) 管内 12,785 13,489 28,614 47.1 (39.5) 全国 185,938 153,101 375,586 40.8 (33.5)------------以前も記したが、おそらく軽自動車のシェアは東北は高いと思われる。そして、新車登録は現時点の選好を示すから、上記データのように全国のシェア(4割)を上回っていることもこの傾向を裏付けると考えられる。軽自動車の選好度の高さが結果的に、軽の買換え及び普通車からのシフトが、他地域より相対的に促されて、全体での新規登録台数の下げ幅は全国よりやや小さい。東北は軽自動車が何とかプラス(5台だけの増加)だったことが象徴的だ。昨年11月分速報値の時点での軽自動車のシェア(上記にカッコで表示)と比較してみると、全国でも33.5から40.8と跳ね上がっているが、東北では全体で7.6ポイントも上昇。そうは言っても、全国との相対比較の話で、とにかく自動車販売が苦戦していることは東北も深刻。秋田や福島は乗用車がほぼ3割も落ち込んでいる。特に乗用車の中でも「普通」(3ナンバー)は顕著で、秋田では42.7%も落ちている(全国△32.2%、東北△34.8%)。なお、ユニークなのは青森で、普通は△43.0%だが、小型が△6.2%(全国△24.2%、東北△21.9%)と好調だ。何か特殊要因があるのだろう。三沢基地で大量に買ったとか(昨年11月が△15.4%なので、それが特殊要因かも)。普通車は昨年11月は東北でも24.0%の増で(小型は0.1%増)、全国の17.0%をも上回るほどの勢いだった。軽自動車はむしろ減小しており(△9.8%、全国は△7.6%)、この1年で景気と購買志向が激変したことを伺わせる。■関連する過去の記事 新車販売激減と東北(08年12月4日) 青森県と軽自動車を考える(07年9月23日)