宮城県議選 高点順得票で激戦を分析
読売新聞地域版に出ていた「高点順得票」が興味深い。激戦の跡が期せずして浮き彫りになっているような気がする。 最高は斎藤氏(無元、石巻牡鹿)16,106票。次いで、渡辺氏(無元、登米)14,153と続く。第12位の熊谷氏(自現、登米)は11,585票を得ながら、落選。最高点の落選者となる。 以下、全81人中で最低点の当選者は、第68位の天下氏(共新、塩釜)で4,920票。同氏より低い人はもちろんすべて落選者だが、同氏より高点を得た候補者の中でも、上記の熊谷氏はじめ、18人が落選している。 理論的に考えてみる。高点ながら落選する条件とは、1 候補者の数が多い2 候補者が票を均等に近く分け合う3 投票率が上がる4 選挙区定数に対して有権者が多い(一票の格差)などの場合だろう。低位ながら当選するの条件は、この逆だ。 概して言えば、高点落選者の出現は、選挙の関心が高く(投票率高い)、選挙戦が盛り上がった場合(票を分け合う)ということになると言える。候補者の数そのものは決定的でなく、票を分け合う有力候補の数が意味を持つだろう。 最高点落選者が出たのは登米選挙区。いずれも保守系の現元3氏が票を取り合った。投票率53.77%は前回から11.53ポイントも落ちてしまったが、定数あたりの有権者が他より多少高いことも背景にあるだろう(分析していない)。トップの渡辺氏は冒頭記載の通り全県でも2位。選挙区2位の只野氏は全県10位で、12位の熊谷氏(落選)とほど近い順位。激戦を物語る。 対して、天下氏の塩釜選挙区の場合、2位当選の同氏と落選した3位、4位の候補者が、3千から4千票で、票を分け合ったことが、低位当選者を生んだと考えられる。トップ当選の佐藤氏(自現)が6,577票。もっと独走すれば、2位当選票数ラインがさらに下がった可能性もある。塩釜選挙区の投票率は43.54%である。前回対比2.09ポイント減は、全県的には良い方だ。 ところで、投票率の前回比でいうと、実は上昇したところもある。亘理が60.30(7.93増)、角田・伊具が65.66(3.63増)。亘理の場合は、落選した新人山本氏も10,125票を獲得し全県高点順位は22位と検討した。角田・伊具は、減員で1つだけのイスをめぐり、現職2人と新人が三つどもえの超激戦だった。 これら以外では、栗原選挙区。落選した熊谷氏(無現)は11,343票で全県第15位。全体でも熊谷氏(登米)に次ぐ、2番目の高点落選だ。栗原も現職と元職の厳しい戦いで、3人が票を分け合った地だ。■関連する過去の記事(2011宮城県議選) 低かった投票率 宮城県議選(2011年11月14日) 県議選の印象(2011年11月14日) 県議選 石巻はどうか(2011年11月11日) 県議選 激戦の仙台市内3区(2011年11月10日) 宮城県議選 激戦区を追う(2011年11月9日)