盛岡と豆腐
少し前のことだが、「豆腐の日」10月2日に盛岡で毎年「とうふ祭り」が開かれるという記事があった。毎日新聞で見たのだが、県内でも特に盛岡以北は稲作が適さず蛋白源として大豆が多く生産されていた。南部藩主が加賀から職人を呼んで豆腐を作らせたともいう。啄木が豆腐売りの声を盛岡の声と表現していたと、豆腐文化に詳しい元県教育長の先生が解説していた。そんな記事だった。豆腐文化、というほどまでに深く親しまれているのか。小生も岩手県出身だがそこまで盛岡と豆腐が関わっているとは知らなかった。盛岡は豆腐消費量が日本一だという。こういう場合によく用いられるのが、総務省「家計調査」だ。県庁所在都市と政令指定都市のデータ(平成21から23年平均。2人以上世帯の年間支出金額や購入数量)なのだが、さっそく確認してみた。------------豆腐(金額)全国 5,9841 那覇市 7,8822 盛岡市 7,7453 徳島市 7,0134 鳥取市 6,7555 千葉市 6,5156 松江市 6,5097 福島市 6,50223 山形市 6,03925 仙台市 6,01334 秋田市 5,76945 青森市 5,089豆腐(数量)(単位:丁) 全国 76.251 盛岡市 102.312 浜松市 93.263 富山市 89.574 金沢市 88.595 青森市 87.306 宇都宮市 86.547 静岡市 85.238 福島市 84.5412 山形市 83.3414 秋田市 82.4338 仙台市 72.20------------毎日の記事では盛岡市の消費量は一世帯あたり100.85丁で、2位の金沢市96.69丁を上回り唯一の100丁越え、と書いている。たしかに、家計調査の年間当たりデータで最新である2011年のものをみると、盛岡市の豆腐消費は数量では100.85だ。しかし、金額はどうだろうか。盛岡市は7733円で、やっぱり全国で一番のようだ。そしてデータをよく見ると、購入頻度(100世帯あたり)6808支出金額7733購入数量100.85平均価格76.67と4つのデータが示されている。金沢市はどうか。購入頻度5,369支出金額5,495購入数量96.69平均価格56.83ほかに、支出金額が高い都市だと、例えば那覇市の場合は、購入頻度5,108支出金額7,718購入数量63.83平均価格120.92とされている。つまり、那覇市も金額は高いが単価が高いことに引きずられており、豆腐の食べている量だと盛岡市の方ということになる。最初に示したランキングで金額では堂々3位の徳島市だが、数量では下がる。2011年の平均価格で91.34と、やはり単価が高めだ。この逆のパターンだと例えば浜松市は、2011年で平均価格66.21である。いずれにしても、盛岡の豆腐日本一とは、まさにそのとおりだ。