ドローンと法規制論議を考える
政府与党はドローンの法規制の検討に入ったという。まず、官邸や国会周辺の上空を飛行禁止とする議員立法を、いまの定例会に提出。次いで、購入の際の登録義務づけなどの規制を、次の臨時国会に提案するという方針と報道されている。そんな中、大阪市は市内981の全ての公園でドローン飛行を禁じる方針を打ち出した。条例の制定や改正を行うのではなく、「他人に危害を及ぼす恐れのある行為」という現在の条項の運用で対処するのだとか。一網打尽にドローンの操作を禁止するのは広汎に過ぎないか、との懸念は一応感じる。もちろん、社会情勢の変化に応じた法(条例)解釈の多少の幅はあって当然ではあるが。運用上にしても立法論としても、届出制にするとか、構築物の周辺に限定するなどの、より制限的な規制方法は考えられるだろう。おそらく、保守派の首長のことだから、いま国に先んじて厳しい印象を与える行動そのものに意義を感じているのだろう。この動きが上滑り的な時流にのって全国に広まってしまうかも知れない。ところで、総務省総合通信基盤局が28日に、小型無人機「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱に係る注意喚起、というものをリリースしている。読んでみると、ドローンは「普段人の目が届かない民家やマンションの部屋の中などを空から撮影することが可能です」から始まって、撮影した画像をインターネットで公開することは、プライバシーや肖像権を侵害するおそれがあるということを述べている。政府の方針に沿ってまずは注意喚起ということだろうが、おかしいと感じるのは私だけであるまい。そもそも、飛行物体を承諾なく他人の家の上に飛ばすこと自体が、所有権を侵しているのであり、(民事上)違法と評価されるべきことである。「...が可能です」と言える役人の感覚がおかしいのだ。インターネット通信を所管する立場で言えること(だけ)を精一杯国民に伝えたということだろうが、まさに縦割りの典型だ。そもそも、ドローンなる新手の飛び道具が登場したとはいえ、ドローン問題の本体は、勝手にのぞき見してはいけないよという点と、これに加えて勝手に人家の敷地内に飛ばしてはいけない、という点。何のことはなくて、違法ではあるが、本来的に社会生活におけるマナーに属すると言っても良い程度の話だ。そんなこと言ったって、やっぱり危険だろう、という国民の方々もおられるだろう。しかし、ドローン自体に危険があるのではなく、危険物を装填して落下させるとか、機密やプライバシーを覗かれることについて、危険や危機を感じるのではないか。とすれば、それはドローンなる道具を極めて特殊な用途に活用した場合なのであって、当該の行為そのものを規制(強い処罰)することが本筋だ。銃について、道具じたいが危険であることから規制を行っている(登録制など)こととは、本質的に異なるのだ。また、官邸などの危機管理は当然のことで、警備や情報管理をしっかりして守るべきを守ることにつきる。今回は、黒く塗って悪質だとか、福島の放射能を含む砂を入れた点からテロに悪用されるだとか、警備の不備を押し隠そうと躍起になる故か、無理をして危険性を誇張しようとしているようにさえ見える。何だか余計なところで大騒ぎ。