教育ローン利用の地域差
NHKニュースで流していたが、日本政策金融公庫の教育ローンの利用件数。東北全体では9,574件。前年対比で695件増で、2年連続の増加傾向。公庫によると、貸付限度額の拡充が反映したという。県別に見ると、青森県1950岩手県1189宮城県2304秋田県1155山形県1167福島県1766である。震災前と比較すると、青森、秋田、山形は震災前とほぼ同水準だが、岩手、宮城、福島の3県は4年連続で震災前を下回っている。高校では、進学先を地元に変更したり断念したり、また、入学金や授業料の減免措置の反映で件数が増加していないと見ているという。上の6つの数字だけを単純に比べれば、青森県の県外進学の多さ、あるいは「教育熱」がうかがわれるようにも感じたが、そう単純では無かろう。まず、大学や専門学校への進学状況と県内県外の比率などに依存することは間違いないだろう。最近は、不況の影響で東京や関西圏など遠方の大学に進学する割合はかなり減ったと全国的に言われている。さらに、世帯の収入状況も影響するだろう。複雑と思われるのは政策的融資制度として所得要件などの関係から、奨学金制度の活用可能性(ローン回避に働くと予想)や、他の金融制度(農協など)の選好度合いも影響するはず。ニュースのように、震災による教育費減免(対学校、対世帯)のインパクトもたしかに生じるだろう。直感的には、(震災による影響ファクターは別にして、)青森県や岩手県は規模に比較して遠方進学が多いと思われ、さらに教育に投資する県民性のようなものが存在しているように思うのだが。もっとも、政策融資という一方策に過ぎないので、かりにそのような実相があってもどれだけこのデータに顕在化されるかわからない。興味深いところなので、誰か詳しく分析しておられないだろうか。