次世代新幹線と栗原騒音騒動を考える
先日河北新報で報道があった。今月3日、栗原市議会が、次世代新幹線開発に向けた試験車両の深夜走行の中止を求める意見書を反対多数(議長を除く23人中17人が反対)で否決。記事によると、県の2017年調査で新幹線の騒音が環境基本法の基準を超えていることが前提として認識されており、その上でも沿線住民への配慮はなされている(反対意見)、子供や高齢者に苦痛をあたえている(賛成意見)とのことのようだ。また、志波姫地区東北新幹線沿線公害対策協議会なる組織の会長の発言が紹介されている。JR東日本が時速360kmの営業運転を目指すため、試験車両として運用しているのがE956型ALFA-Xである。試験走行は今年5月から仙台ー新青森間で実施。22年3月まで週2回のペースで行う。問題の栗原市は、くりこま高原駅を午後11時台と午前5時前後に通過するのだそうだ。営業運転での目標は360kmだが、現実の気象や地形など諸条件を考えると、試験走行では時速400kmをクリアすることが必要で、今回の試験でも400km走行を数回試すという。窓が非常に小さく、両端車両の鼻が異常に長いのが特徴だ。北海道新幹線が札幌まで延びる2031年春までの導入をめざす。なお、2005年からの試験車両FASTECH(ファステック)も営業360kmを目指したが、騒音とコスト対策が課題で現行のE5系は320kmを最高としている。JR東としては、沿線地域の反対はもちろん避けたいだろうし、時間短縮に見合わない高コストは意味がないということだろう。現在仙台から東京は約90分、中でも約30分を要する大宮以南のスピードアップは技術的には可能だという。最近になってやっとこの区間の最高110kmを130kmに引き上げるための工事を始めたそうだが、かつての埼玉県住民などによる東北新幹線反対の大運動を背景に、沿線には相当気を使っているのだろう。それにしても、わが宮城県で「新幹線がうるさい」という意見はこれまであっただろうか。たしかに個別の世帯の状況によっては苦痛といえる場合もないとは言えない。また、信条をもって問題提起する個人がいるのも自由で構わない。しかし、地域の声として対策を求める動きがあるとは、私は不勉強にして知らなかった。「公害対策」とまで名を冠した組織があるのか。まずはそのことが新鮮だった。