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小学生の時になりたかったのは、漫画家。
中学生に時になりたかったのは、作詞家かシンガーソングライター。 中学の卒業文集に書いた将来の夢は、中学校の社会の先生。 そして今、9年かかってかなえた夢を、職業にしています。 苦労してかなえた夢でも、時には辛くてしんどくなる時もあります。 そんな時は、のんきにお茶でも飲みながら、楽しいことを考えよう。 しんどい時こそ笑っていよう、そう思う今日この頃です。 購入履歴
カテゴリ:観劇・演奏会記録や舞台全般について
T1プロジェクトのミュージカル、前回は「PIANIST」を観劇した。
観劇後は結構記憶から抜けてしまうのに、不思議と、ブログを書きながら次から次へと舞台の情景が浮かんでくる作品だった。 「PIANIST」の感想はこちら♬ 今回、脚本・演出が同じく友澤晃一さん、歌唱指導が古澤利人さんの「ココロノカケラ」を観劇してきた!月組のメンバーの日だった。 もう公演が終わっていること、T1プロジェクトは基本再演しなので、ネタバレで書かせていただく。 (そして我ながら感想が長くなった!) 物語は、現代の話だが戦争まっただ中の東京、記憶をなくした(ことに気づいていない)人達がカルト集団に救いを求めて、お互い助け合いながら生きている。 そこに、テレビの取材だと言って入り込んできた青年が、ある女性を質問攻めにする。戸惑いながら彼女は、忘れていた辛い現実の記憶を少しずつ思い出していく。そしてそれはその集団全体に広がり、みんな気づいていく、自分は誰だったっけ?と。 舞台は、開演10分前にプロローグとして、数名の男女が出てくる。そして、みんな記憶がおかしなことになっていることが提示される。 怖い話だなーと思った。まず戦争状態であること。 え?中国と北朝鮮が手を組んでトランプ知らんぷり?(→もしかしたらハリスかもしれないがな)す、すごいリアリティのある設定だ。怖。 そしてカルト集団が関わること。 日本人は、色んな所に神様がいる(トイレにも)と考える民族だ。自然信仰は大きな山などに対する畏怖の念が基本だから、信仰者(物)の思想に染まることはない。 しかし一神教は違う。神の名のもとに人殺しもできるのは歴史が証明している。苦しいから、しんどいから心の救いを求めて人は信仰する。そこまでの人がほとんどなのだろうが、それを守る為に攻撃もいとわなくなる人もいる。 つまり、本来は、心の平安が目的でそのための手段が神を信じることなのだが、神を信じることが目的になってしまうと、別意見や、信じることを阻害されるとあらゆる手を使ってそれを排除しようとする・・・。 この芝居は、主眼が信仰よりも心の平安の方に置かれているので穏やかなのだと思う。でないと三十郎、多分、命なかったよ?(笑)でも、記憶が塗り替えられてしまったり、自分の意思より人の思想がすべてになってしまったりするのってやっぱり、怖。 そして最大の「怖」は・・・ 最後に明かされた、この世界がバーチャルリアリティであること、そして、これって現実にも起こりうるんじゃね?と思わされたこと。 「20世紀少年」の頃は、まだバーチャルリアリティって空想上のものとして楽しんだけど、今や、もう普通にアバターが別人格を持って虚構の世界で活躍している世の中になった。 浦沢直樹さんからザッカーバーグ氏へ。進歩・発展は素晴らしい。だけど、このまま進んでいいものなのか・・・。ねえ、結構、やばくね?(←日常的に若者言葉使ってる昭和人。) この作品、家族についてが表のテーマだけど、本当はこっちの方を言いたかったんじゃないの?と感じるフシもある。 しかし、だ。人間には、感情がある。心がある。その心が壊れるくらいなら、逃げる場所も必要だとも思う。 段々記憶が戻るにつれてココロノカケラがパズルのパーツのようにはまっていく。 思い出した記憶は、残酷で胸をえぐられるようだ。思い出さない方が幸せなこともある。 でも・・・ 残された人々は? 残された人々は、記憶を消すこともできず、苦しみと向き合うしかない。だから、三十郎は来た。魔麒麟も来た。 逃げる場所も必要かもしれない。でも、人は現実でしか生きられない。 今にも砕け散りそうな心を必死で守りながら、時には逃げながら、それでもこの世界で生きていくしかない。心が砕け散ってしまったら、そのかけらを、一つ一つ丁寧に拾って、接着剤でくっつけて、そうして私達は生きていく。だって、人間だから。 うおう。かっこよくまとめてしまった。でも役とか、役者さんについてまだ書くぜ。 皆さん抜群の歌唱力と演技力である。本当にすごいと思う。 宮本三十郎(長江崚行さん)、最初やなヤツだなーと思ったけど、君は娘のあかりちゃん(大類果恋さん)だったのだね。2人がリンクして台詞を言うところは、ぐっと胸に来ました。パンフとは違って金髪だったけど、それがすごく良かったと思う。あかりちゃんの最後の笑顔にちょっと救われた。 久留米さん(菜々香さん)の役と同じ経験をした方は、現実にいらっしゃる・・・。私は子供がいないけれど、もし目の前で旦那が車にひかれて、自分だけが生き残ったら・・・私も久留米さんと同じようになるかもしれない。生き残る方が辛い。あなたはずっとここにいてもいい、と思った。 飯塚さん(会沢結季さん)、最初うるさいヤツだなあと思って、ごめんなさい。こうやってよくしゃべる人に限って、それが鎧だったりするんだよね。 海原役のりりこちゃん!あなたおじいさんだったのね!(笑)5月に三ツ矢直生さんのコンサートで美声を聴き、また聴くことができたのが至福。 山下さん(長谷川夢華さん)、表情、声、持って生まれたものがあるんだろうな、圧巻でした。宗教2世、色々、ぶっこんできますね、このお芝居・・・。 しおり(mocaさん)も最後にやっと自分を思い出す。たくさん歩けたかい?(泣)きっと待ってる人がいるよ。 桜田メイ(木山メイさん)、あれ、役名と同じ?かたくなに「ずっとここにいた!」と言ってたこの子は、現実はどんな人生なのだろう? 御厨先生(田代衛さん)、伸びやかな声で声量もあって圧倒された。ベビーフェイスで怖いこと言うねえ(笑) パリコ(佐藤絵里佳さん)、まず細っ!と思い、そのお顔立ちなどが役にぴったりだと思った。最後、切ない。こんな結末だとは。 リョウ(中山優貴さん)、パリコと二人でこの世界に迷い込んだけど、結局は現実世界に妻と子供がいることを思い出し、帰っていく。きっと会社か何か、仕事で辛いことがあったのかと。 森加奈子お母さん(早乙女なおこさん)、若い人ばかりだからベテランの方がいると締まりますね。最後の優しい話し方が好き。 多々良優(内田航さん)、厚生労働省の方でしたか。スーツが非常に似合います。最後、もしや君もこの穏やかな世界に染まってしまったのか?と思ったけどちゃんと現実を見ていてほっとしました。 魔麒麟(古澤利人さん)、先月のイソップとビジュアルも打って変わってタトゥー入り。軽ーい感じで入ってきて、ニヤニヤしてて、やばいヤツ来た、と素直に思いました。きっと現実では堅実なサラリーマンか何かなのではないでしょうか。この世界で死んでしまったら、現実でも死ぬ?どこかで妹に会えるだろうか。 森巌(川口竜也さん)、まさかここで川口さんのお芝居を観られるとは!スーツも作業着もフランス警察の制服もすべてお似合いです!(←ただのファン) 田中真理子そしてはるかさん(貴城けいさん)、かしちゃん!宝塚最後の舞台であなたに一目惚れして、退団してからファンクラブに入り、ファンミで明るくさばさば喋っていたあの日から、何年経っただろう。コロナで芝居から遠くなっていたけど、また観られるようになって、久々にかしちゃんを舞台で観られて泣きそうになった。暗い表情ばかりだったから、最後の涙ぐんだ笑顔にほっとした。 ラストシーンについて。 はるかが現実世界に戻ったら、そこには悲劇はなかった。夫は健在で、娘も姑も優しいまま。 これは悲劇が起きる前なのか?それとも、また別の世界なのか? そして、これはハッピーエンドなのか? 私は。 ハッピーエンドではないと思う。なぜなら、最後の音楽が、主音で解決していないから。 「ウエストサイドストーリー」のラストは、敵対する2つのグループが協力してトニーの遺体を運ぶ。バーンスタインがそこに用意した音楽は、美しいメロディと・・・不協和音だった。最後まで協和しない、つまり、争いはずっとなくならないことを暗示している、という解釈がある。 だから、ココロノカケラも、音楽的に解釈すると、すっきりハッピーエンドとは思えない。 それか、確かドミナント(五の和音)で音が伸びていたので、ドミナントはトニック(つまり主和音、解決する音)に戻る性質があり、その一歩手前ということか?どんどん音量が大きくなり音もたくさん増えていたと思うので、たくさんの選択肢があってどれを選ぶかはあなた次第、ということなのか? あるいは単純に半終止だからまだまだ続くよ、ってことか? いずれにせよ。 どんなに心が壊れるくらい苦しくて逃避しても、戻ってきた現実の世界は、必ずしも苦しいだけではないよ、という暗示であってほしいなと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年09月29日 20時01分23秒
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