東京都文京区の私立郁文館中学・高校が自校を会場に実用英語技能検定(英検)を実施した際、届いた試験問題を教員が事前にみて、出題される単語を生徒に指導していたことが分かった。不正は確認されただけで95、96、01、02年度の計12回に及び、当時教諭だった校長ら3人がかかわっていたという。
日本英語検定協会(東京都新宿区)によると、英検は同じ学校や塾で10人以上が受検する場合、「準会場」としてその学校などで受検でき、試験監督も教員らが務めることができる。準会場は全国に約1万6千カ所あり、不正は過去3年に塾で3件発覚している。同協会は不正指導の時間的な猶予を与えないよう、試験の2日前までに届けていた問題を前日到着にすることを検討しているという。
郁文館中学・高校を運営する学校法人によると、当時教諭だった校長らは、英検の前日や前々日に生徒を集めて「対策講座」を開催。送られてきた問題の中から難しい単語や熟語を取り出し、板書したり、プリントを配ったりしていた。不正指導は2級と準2級を受ける中3、高1が主な対象だったが、中2にも指導した可能性があるという。
内部調査では指導を受けた生徒数を確認できなかったとしているが、準会場として最後の試験だった04年6月の英検では、全校生の3分の2に当たる約1千人が受検。2級は約100人、準2級は約200人が受けたという。
学校法人の理事長は、外食チェーンなどを手がける「ワタミ」社長で政府の教育再生会議委員も務めた渡辺美樹氏。就任は03年3月で、渡辺氏は「教育者としてあるべき行為ではない。悪い歴史を塗り替え、信頼を取り戻していきたい」と話した。不正にかかわった校長は辞任し、27日付で渡辺氏が校長に就任。他の2人はすでに同校を離れているという。(片山健志、星賀亨弘)
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