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テーマ:やさしい法律・行政手続(1)
カテゴリ:相続
相続財産とは、一身専属的なものと祭祀財産を除くもの(包括承継)を、いいます。 具体的には、取消権、所有権、用益物権、担保物権、借地権、借家権、無体財産権、損害賠償請求権、社員権、有価証券、指名債権、預金債権、現金など、あらゆる積極財産が、含まれます。 また、保証債務(身元保証債務、限度額および期間の定めのない包括根保証債務等を除く)・連帯債務など、あらゆる消極財産も含まれます。 簡単に言うと、貯金も借金も含まれますよ、と言うことになります。 1. 積極財産で問題となるもの (イ) 占有権 占有権とは、物に対する事実上の支配権をいいます。観念的な占有権の相続についても、通説、判例はこれを、認めています。 (ロ) 預金債権 金融実務では、被相続人が死亡して、金融機関が死亡の事実を把握すると、預金が凍結されて払い戻しが出来なくなることが多いようです。 遺産分割協議を終えてはじめて、預金を取得した相続人に対して払い戻しが行われます。 (ハ) 不動産賃借権・使用権 ・ 借地借家法36条では相続人がいない場合、内縁配偶者などの同居者に借家権の承継を認めています。 ・ 公営住宅について (判例)最判平成2年10月18日民集44巻7号1021頁 ・公営住宅は住宅に困窮するものに対して安い家賃で貸しているのであるから、相続人が当然に承継するものではない、としています。 (ニ) 損害賠償請求権 ・ 損害賠償請求権一般は、相続財産に含まれます。 ・ 死亡事故による損害賠償請求権の内容としては、財産的損害として積極損害と、消極損害(逸失利益)があり、精神的損害として慰謝料があります。 (判例)最判昭和42年11月1日(百選62) 生命侵害による損害賠償請求権の相続を、消極損害、慰謝料のいずれも現在の判例は認めています。 (ホ) ゴルフ会員権 (判例) ・ 会員の死亡により会員資格を喪失するという、規則が定められている場合は相続財産に含まれない(一身専属的権利)。(最判昭和53年6月16日判時897号62頁) ・ 上記の規則があっても、他方で、相続による承継手続きも定められている場合は、承継人は理事会に正会員としての地位の承継を求める事が出来る。(最判平成9年3月25日民集51巻3号1609頁) 2 その他の財産権で問題となるもの (イ)生命保険金 ・ 生命保険金は、保険契約に基づき、被保険者等が死亡する事によって指定された受取人に支払われるものです。従って、被相続人の相続財産ではありません。 ・ しかし、人の死亡によって一定の金銭が支払われる点で、相続と類似する面もあり、相続税法上も「みなし相続財産」とされています。相続税の対象となります。 ・ ただし、一定額までは非課税とする優遇措置も講じています。 (判例)最判平成14年11月5日民集56巻8号2069頁 ・ 基本的に受取人に指定されたものが固有の権利として生命保険金請求権を取得する。 (ロ) 死亡退職金 ・ 死亡退職金とは、公務員や民間企業の従業員が死亡した場合に、使用者が遺族に対して支払う退職金であり、法令や企業の内規で受給者の範囲や順位が定められているものをいいます。 ・ 被相続人の生活実態を前提として、遺族の生活保障のために定められているものと見られます。 (判例)最判昭和62年3月3日〔百選63〕 ・ 死亡退職金は相続財産には含まれない。 3 祭祀財産 ・ 祭祀財産とは、例えば、仏壇とかお墓とかの所有権を指し、これらは、祖先の祭祀を主宰すべきものが、承継する事になります。 ・ したがって、相続の対象とはなりません。 (判例)最判平成元年7月18日家月41-10-128 ・ 「遺骨」については、死者の祭祀供養を司るものに帰属すると考えられています。 次回は相続分についてお話します。 ・・・つづく ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 人気ブログランキングに参加しています。応援宜しくお願いします。 ポチッ! 人気blogランキングへ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 離婚・相続等の法律問題でお困りの方は↓ 櫻井法務行政書士オフィス ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.09.23 21:17:56
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