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やさしい法律・行政手続入門

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2005.11.02
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カテゴリ:婚姻
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Q16.相手の責任で破談になった場合でも結納は返さなければならないのでしょうか

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A16.

一.結納

1.結納とは、婚約が調ったときに、普通は男性側の親から女性側の親に金銭などを贈与する慣行です。

2.男性が女性の家に養子に行った場合などは、女性側から男性側に贈与するということも、地方によっては行なわれているようです。

3.ただ、その由来は、はっきりせず、購買婚の名残ではないかと見られています。

4.購買婚ないし娘に対する支配権を譲り受ける対価としての金銭の授受の慣行は、ヨーロッパにも昔はあったようで、ゲルマン人の間ではそれが次第に名目化し、後には指輪の授受だけになったとも言われています。

二.結納の法的性質

1.結納の法的性質については、解除条件付贈与と構成するのが最も無理が少ないと思われます。

2.最高裁は「婚姻の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与である」と述べており、証約手付けと目的的贈与をあわせたような理解だとされています。

最判昭和39年9月4日(民集18-7-1394)

「原判決によれば、原審は、上告人の結納金返還請求につき、所論の如き判示をしたのではなく、結納は、婚約の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与であるから、本件の如く挙式後八ヵ月余も夫婦生活を続け、その間婚姻の届出も完了し、法律上の婚姻が成立した場合においては、すでに結納授受の目的を達したのであつて、たとい、その後結納の受領者たる被上告人からの申出により協議離婚をするに至つたとしても、被上告人には右結納を返還すべき義務はないと解すべきであり、これと異なる慣習の存在することを認むべき資料もないから、上告人の結納金返還の請求は失当であると判断したのであつて、原審の右判断は正当である。」

3.結納の法的効果としては、婚姻が不成立になった場合(破談の場合)は、返還を認めるべき金品の授受である、と言う点については、学説上の異論はありません。

4.それでは、破談の原因が結納を授与した側にあったときにも返還請求できるでしょうか。

三.〈事例〉

A男は、B女と婚約するに際し、結納金50万円およびその他の結納品を交付した。

のちに、Aの責めに帰すべき要因により当事者間に不和が生じ、結局、婚約を解消する事になった。

B側が金銭以外の結納品を返還しただけであったため、Aは結納金の返還を求めた。

Bは有責者からの結納金返還請求は認められないと主張している。

Aの請求は認められるだろうか。

四.東京高判昭和57年4月7日(判時1047-84)

この事案では、裁判所は、結納金の返還は信義則上許されない、と判断しました。

(考え方)

解除条件付贈与と考え、故意に条件を成就させた当事者はそれによる利益を得る事はできない(130条類推)と考えるのが有力説です。

民法第130条

「条件が成就する事によって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げた時は、相手方は、その条件が成就したものとみなす事ができる」

五.内縁まで至った場合

1.大判昭和3年11月24日(新聞2938-9)

・約1年間の内縁で返還請求を否定しました。

2.大判昭和10年10月15日(新聞3904-16)

  ・約2ヶ月の融和を欠いた内縁が解消したケースにつき返還請求を認めました。

3. どの程度の内縁にまで至れば贈与の目的が達せられたかとの判断は、個別の事情しだいであり、一律に判断を示す事は困難です。

4.いずれにしても、結納金を返せ、返さないで最高裁まで争われるケースは稀で最近の判例は見当たりません。

次回は離婚について

・・・つづく
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最終更新日  2005.11.02 09:54:37



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