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やさしい法律・行政手続入門

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2006.09.17
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正解は(1)

(1)正

 高田事件(最大判昭和47年12月20日)

 「当裁判所は憲法37条1項の保障する迅速な裁判を受ける権利は、憲法の保障する基本的人権のひとつであり、右条項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置を取るべき事を要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的な規定がなくても、最早当該被告人にたいする手続きの続行は許さず、その審理を打ち切ると言う非常救済手段がとられるべき事を認めている趣旨の規定であること認めている趣旨の規定であると解する。」として、15年にわたって審理が中断した当該事件の被告人に対して、判決で免訴を言い渡しました。

 しかし、審理の遅延が憲法37条1項に反する事態に至っているかどうかは、遅延の期間のみによって一律に判断されるべきでなく、遅延の原因と理由などを勘案して、その遅延がやむを得ないものと認められるかどうか、37条1項が守ろうとしている諸利益がどの程度実際害されているかなど諸般の状況を総合的に判断して決せられなければならない、と判示しました。

 ゆえに、本肢は、遅延の状況が明らかに示されていない為、正しいといえます。

(2)誤

 憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、「構成その他において偏頗の惧れ(おそれ)のない裁判所」をいうのであって(最判昭和23・5・5)、個々の裁判の内容が誤解や事実誤認によって事実上不公平な結果を招いても、それは同条項に反するものとはいえません。

 したがって、本肢は誤りといえます。

(3)誤

 憲法37条2項後段は刑事被告人の証人喚問権を保障していますが、全ての証人を喚問する必要はなく、当該裁判を為すに必要適切な証人を喚問すれば足りると言えます(最判昭和23・7・29)。

 したがって、被告人の申請した証人全てを却下する事態が起きたとしても、証人全てが適切ではないと判断したとすれば、必ずしも常に被告人の証人喚問権を侵害しているとはいえません。

(4)誤

 憲法37条3項は、被告人の弁護人依頼権を保障しています。すなわち、被告人が弁護人を依頼することができないときは、強制弁護の場合を除いて、本人の請求に基づいて国選弁護人を附さなければなりません(刑訴36条)。

 しかし、憲法上は、国選弁護人の費用を何人に負担させるかについては触れていません。

 そこで、被告人が資力を有しない場合は国が負担することになりますが、貧困以外の理由で国選弁護人を附した場合には、国が負担すべき理由はなく(刑訴181条、500条)、「全て公費」で負担する、という本肢はその点で、誤りということができます。

(5)誤

 (1)の高田事件判決では、「右条項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置を取るべき事を要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的な規定がなくても、最早当該被告人にたいする手続きの続行は許さず、その審理を打ち切ると言う非常救済手段がとられるべき事を認めている趣旨の規定」と、判示しています。

 よって、本肢は誤りといえます。

 司法試験 S51 問題26

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最終更新日  2006.09.17 12:13:51
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