ついに、ピクシーズを超えてフランク・ブラックのソロ盤にも手を出してしまった。ああ。たった4枚しかないフルのオリジナルアルバムだから、ピクシーズについてはケチッテケチッテ購入していたのだ。『ボサノバ』の購入は半年以上前だったと思う。ラストアルバムの『世界を騙せ』を薦めてくるアマゾン。毎度、そのジャケットを眺めながら、やり過ごす。そして買うのはピンク・フロイドの初期の頃のアルバム。「エコーズ」が鬱の心に染み渡る。フロイドがうつ病を癒すことについては日を改めて語ることにするが、そうやってピクシーズ購入を避けてきた。しかしついにこの日がやってきたのだ。
ピクシーズとフランク・ブラックのソロひとつと2枚も買ってしまった。
91年発表の『世界を騙せ』は『ボサノバ』風味のオサレなパンクがソニック・ユースのごとくに暴走しているようだ。ギターのジョーイ・サンチアゴとベースのキム・ディールの風味は最小限に抑えられて、ブラック・フランシス一人がテレキャスでキーンとした硬質なギターを弾き殴っている。この頃、バンドは空中分解寸前であったそうだ。半分くらいはチャールズ(フランク・ブラック)のソロみたい。このアルバムに満足だったのは彼だけだろう。我々、聴く側にとっては、いい作品なのでイイと思うだけだが。
91年といえばニルヴァーナの『ネバーマインド』が出た年だ。グランジロックという言葉がブームでロックの状況が大きく変わってきた頃。オルタナティブの先駆的なポジションを築き、フォロワーがたくさん出てきた頃にピクシーズ自身は役目を終えた。あとはデブの「一人、ロックの細道」をとぼとぼとついていく、私のようなバカがいるくらいである。