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テーマ:最近観た映画。(40147)
カテゴリ:レビュー
平日の10時にシネプレックス幕張にいる連中に、忙しいの文字はない。洗車も部屋の掃除もやっぱりできなかった私は、ベッドにもぐりこむという最悪の事態を避けるために、とにかくここへやってきた。『硫黄島からの手紙』も『武士の一分』もひっかからず、『マリー・アントワネット』がちょうどよいタイミングという事態に、ターリーズでカプチーノを飲みながら思案すること10分。よし、観るか!との結論に達した。TVのスポットCMにおいてニューオーダーの「セレモニー」が主題歌として使われていたことが決めてであった。音楽を聴きにいこうと思ったのである。J-WAVEではこの映画より何曲かサウンドトラックがかかり、80年代のいわゆるニューウェイブロックを盛り込んでいるらしかったのだ。
『マリー・アントワネット』を平日の午前中に観るやからに、忙しいの文字はない。さっき、言ったか。場内はオババばかりである。オババとマリーアントワネットの相関性はニッポン国に限ったことらしく、生誕250年がブームに輪をかけて関連本は次々に出版されるわ、自宅の装飾および、ファッションをマリー風にするわ、ホテルにてブルジョワジーな婦人が講演会をするわと、奇妙な盛り上がりを見せ、東宝東和もさぞや鼻息が荒かろう。悲劇の美女、マリーが生きた激動のフランス革命の時代を、中華定食のごとくこってりと食したいオババ達は映画が始まるを待った。 監督はコッポラの娘であることも知らずに、だ。 ※ 映画はブルボン家よりフランス王室に嫁ぐところから始まる。オーストリアとフランスの国境線で、ちょっとした儀式が執り行われ、マリーは衣類のいっさいすら脱ぎすて、お付きの待女や可愛がっていた犬ともお別れ。結婚相手のルイ16世はまだ子供じみた男であった。マリーも14歳だったと記憶する。典型的な政略結婚で、ヨーロッパの政局安定のために嫁いだマリーであったが、柳沢厚生労働大臣の心持で、子供を産む機械として決意している美貌のマリーに、ルイは劣情を感じないのか、夜の営みが行われないのである。これには祖父であるルイ14世も、ブルボン家の偉い人も困った。どうしましょ。 とここまでがストーリーらしいストーリー。大河ドラマのこってり風味。だが、ソフィア・コッポラは彼女の悲劇を描くことにさして関心はなかった。上映開始30分ほどでオババ達は不安な表情を見せ始めたのだ。見えないが。 美術、衣装はすごくご立派。おそらく時代考証もしっかりしているだろう。絢爛豪華なベルサイユ宮殿での日常。そのきらびやかな映像にのっかる音楽がニューオーダー、アダム・アンド・ジ・アンツ、バウワウワウといった面々だ。コッポラの娘がやりたかったのはコレだったのだ。時代は17世紀であろうが若い娘には違いない。マリーの生命力と絢爛豪華な宮殿のビジュアルを、80年代初頭のロックで表現した。これにはオババたちも?だったに違いない。私の心はすでにサウンドトラック盤がアマゾンにあるかしら、とストーリーからは離れていた。この映画の50パーセントは美しい音楽だ。残りの半分は映像美。少女マンガのような展開を期待すると完全に裏切られる。ので、奥さん、この映画はいかないほうがいいですよ、CMの音にピンと来る人以外は。 バウワウワウがとてもよかった。アナベラは元気であろうか。 ※星は5つ中3つ。オババを対象とすると2つである。 マリー・アントワネット - goo 映画 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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