サントリーオールドのCMがいい。(♪ランランリラン シュビラレ)のスキャットをバックに故郷の父親と都会で生活する娘のショートストーリーが流れる。娘のルックスがいい。語り口もいい。要するに演出がいい。どういっていいかよくわからないが、よく探してきたと思う。50人ほどオーディションをしたのだろうか。出張だという父に、仕事はうまくいっていると嘘をついた娘。そして娘は父の嘘にも気づいていた。出張なんてなかったんだってこと。いわゆる温度の低さを感じるが、底にはぬくもりがある。ニッポンの経済は踊り場を脱却したらしいが、ようやく立ち直りつつある日本の温度はこのくらいが正直なところだろう。2007年におけるサントリーオールドのCMとして、素晴らしいコンセプトだなと、思った。
そういや、ちょっと前までオールドのことなんて忘れていた。あれは30年前のウィスキーだと思っていた。(♪ランランリラン シュビラレ)の音楽が07年の都市にあって一巡してオンタイムになってきた。思い返せば『恋は、遠い日の花火ではない。』なんていってた頃が一番つらかった。ニッポンは涙目だった。私はローヤルのコピーというお題において、最初、『みつかりましたか?』と書いたら『恋は…』のコピーライターに「キャッチが逃げている」ときびしく批評された。確かに見つからずに右往左往する人たちに「みつかりましたか?」と声をかけてはいけないな。(ビジュアルは鍾乳洞の中でライト付のヘルメットをかぶった男女が出会って乾杯するというものだった)あのコピーを考えたとき私は27歳。あれからずいぶん経って、オレはみつけられたのかな。まだじゃん。でも『おいしくなってきた』といってもあながち嘘でもない。まだ、みつからないけれど、少しおいしくなってきたぞ、オレの人生。
みんなで
『人生、おいしくなってきた。』の動画をみよう。