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テーマ:今日の出来事(292930)
カテゴリ:メンヘラー!
友人から聞いた話である。その友人は業界の研修会を出席するためにクルマをコイン式のモータープールに入れて、午前、午後と計6時間ものどーでもいい講義を聴講した。この友人、長い間うつ病に悩まされて、5ヶ月ほど前に社会復帰したのだが、まだ、6時間、じっと椅子に座っておとなしくしているのは酷な様子であった。まあ、どうにかやり終えて、「さあ、やっと家に帰って、横になれるぞ。」と駐車場にいけば、なんだか様子がおかしい。出口のあたりでスーツ姿の男が2人、突っ立っているのである。最初は、パーキングの管理会社の人かと思い、友人は、700円を入れて(1日700円というプライスなのである)出ようとした。しかし、コインはそのまま戻り、ゲートも開かない。2回目も同じだった。
2人目の男が言った。「私は千円札を入れて、そのままなんですよ。」 入れた金が吸い込まれたまま、うんともすんともないとは、なんともやりきれないだろう。1人目の男は、ケータイで管理会社に電話をしていた。 「え?30分?このままじゃ、とんでもないことになりますよ!」 電話の向こうの対応は、よくないようである。電話の男の表情は煮え切らない相手に辟易している様子であった。そして3人目が友人なのであった。 友人はクルマから降りて、ためしにゲートの棒に触ってみた。かみ合わせの部分を力によってはずすことができないものかと思ったのである。しかしながら、そう簡単には外れない。友人は、とにかく早く家に帰りたい一心でバーを持ち上げた。 『パキッ!』と音がして、先っぽの木製の棒が折れた。しかし、バーは依然として横になった状態である。電話で管理会社とやりとりしているサラリーマンが実況してくれる。「いま、棒を折りましたよ!」「力ずくで持ち上げようとしていますよ」そう、彼は力ずくでバーを持ち上げだしたのである。『メリメリ!』と音がして丈夫な棒はようやくしなってきた。そこで最後はクルマを動かし、バーを押し出す。バキバキいいながら、彼のクルマはゲートのバーを越えていった。そして友人は振り返ることもなく、走り去っていったのであった。彼の後ろには、赤いゴルフに乗った女性が並んでいたし、ほかにも出ようとするクルマはあっただろう。友人は、犯人が犯行現場も戻ってくる心理に襲われたが、どうでもいいことだと思い、そのまま帰宅した。 そして翌日、このエピソードが私の耳に入ったのである。 私は勝手に空想するのだが、1人目も2人目も、結局は、彼が壊したゲートを潜り抜けて出て行ったのではないかと。機械が勝手に壊れて、迷惑をしているのは利用者である。それをいつ来るとも知れぬ管理会社の職員がやってくるまで待つ義務があるのだろうか。友人はゲートを抜けながらも700円はぜひとも払いたかったそうだ。しかし、彼が返却口においたコインが管理会社にそのまま受け取られる可能性は高いだろうか。結局、後からやってきた誰かの懐に入るだけではなかろうか。 しかし、いくら機械が故障したからといって、ゲートを破壊するのは器物損壊に問われるのではないか。管理会社が来るのを待って、もしも、その時間のロスで損害がこうむるのであれば、その額を請求すればよいのではないか。とはいうものの時間をお金に換算するという作業の難しさといったら…。 さあ、皆さんはいかがお思いか。 うつ病に悩む友人が起こした器物損壊事件。彼の迷いのない行動に、未だ病理は癒えてないことをつくづく知った次第である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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