『それでもボクはやってない』を観た。痴漢冤罪がテーマの作品である。監督は『シャル・ウィ・ダンス?』の周防監督。10年ぶりの作品だ。いやあ、地味な作品でした。実際の痴漢事件について、かなり詳しく取材している。ディテールが細かくてリアル。この作品での案件も、何かモデルがあるなと思わせるほどにリアリティがある。警察、検察の取調べの方法とか、意外に被害者の記憶があいまいでもそのまますんなり通ってしまうところとか、現在の警察権力に真正面から勝負している。日本の警察行政・司法の問題点を、それは丹念に拾っていて、とても地味だが、観るものはこの世界にひっぱりこまれるのだ。しかし劇場でこれを観た人はドーン!とヘヴィな気持ちを抱えつつ映画館を出ることになったのだな。ビデオでよかった。
映画の出来としては『シャル・ウィ・ダンス?』と同じくらいよい。
でも集客は悪かったろうな。
取調室には窓はないんだよな、普通。テレビドラマの取調室には窓があるが、じっさいの取調室のつくりは、1つがカプセルのように狭く密閉された空間なのだ。あの中に入っただけで圧迫感を感じる。そういうディテールが正確な取材により現実に忠実であった。男性諸君は観るべし。
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