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あいうえお道場/職業訓練編

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◎振り返れば今から十日くらい前であろうか。だしぬけに私は自らTシャツを製作して、皆様にお分けしたいと思い立ったのである。オレがこの世に存在しているしるしを残したくなった。しかしなぜ、そんな気持ちになったのだろうか。

◎今回の東日本大震災で、ニッポンの皆様はそれぞれに被災地に思いを寄せて、ある者は東北へ足を運んでボランティアを買って出たり、また、ある者は、コンビニの募金箱につり銭を入れている。孫さんは100億円を寄付した。この私だって何かできないものかと考えるようになった。抗精神薬のジプレキサを服用するようになり、漠然たる意欲がむくむくと湧いてきた。それで「チャリT」の製作を思い立った。金?働かぬ私は父君にTシャツチャリティプランについて洗脳するがごとくにアピールをした。私の言い分は、(私はようやく快方に向かいつつある。まったく何もする気になれなかった自分が、非常に意欲的にTシャツを作りたいと思い、ノートにサムネイルやキャッチフレーズなどを書き込んでいる。オリジナルTシャツについて考えているだけで、私の心は充実しわくわくしてきた。ちょっと考えてほしい。つい最近まで、精神病院への再入院を考えていた私がこんなにわくわくしているのだ。じっさい、仮に入院をすれば一ヶ月で8万円くらいはかかってしまう。社会から遮断された世界でその日をやり過ごす一ヶ月より、Tシャツ製作プロジェクトに精を出す一ヶ月のほうがどれだけマシか)と。

◎父は、今後、私がTシャツ販売で生計を立てようともくろんでいるとおもったようだ。いや、そこまでは考えていない。自分が作ったTシャツを見知らぬ誰かが着ているという状況を夢想しただけで広がっていく夢気分。こいつを味わいたいのだ。確かに抑うつ状態だった人がいきなりTシャツを販売したいなどと思うのは、躁転の可能性があった。気をつけているのだがついなってしまう瞬間的躁転。躁と鬱は合わせ鏡。はじめのうち、私はなんとアパレル業者とコラボレートして、メジャーの販路に乗せたいとまで考えていた。学生時代の友人にアパレル経営をしている者がいて、10年ぶりくらいに彼に連絡をして、Tシャツの販売のプロセスを教えてもらい、できれば一口噛んでくれというつもりでいた。広島の自宅に電話をしたが、見知らぬケータイ番号のせいか、相手が電話にでることはなかった。それで、私は結果として恥を掻かずに済んだ。やっぱり躁状態であったのだろうか。ああ、そうだ、恥を掻く行動はもうひとつあった。私はブログで知り合ったグラフィックデザイナーの女性にイラストを発注していた。メールの返信がいつまでたっても来ないので、私は相手の心を凍らせていることに気づいた。気づいてすぐにごめんなさいメールを送ったが、相変わらずレスはやってこない。まあ、しかたがない。自分を戒めたが、Tシャツ製作をやめるという気持ちにはなれなかった。

◎私はヤフー知恵袋に製作の道筋について相談してみた。回答は1件あって、かいつまんでいうと『チャリティーのTシャツをつくることはよいことだ。町のTシャツ屋さんに見積もりを取ってもらって相談しなさい。友人、家族からはじめて、広げていたらよかろう。』ということだった。回答はやさしく、丁寧で、そして一般人が業者のようにTシャツを売ることが大変難しいことを諭していた。瞬間躁病の私は少々不満もあったが、一方でそれが現実だなとも感じていた。さっそく、ネットで手作りTシャツ販売の業者を探して、比較した。結果、回答者が教えてくれた業者に見積もりをとってもらうこにした。このときの私は冷静で、Tシャツの製作枚数は50枚であった。2色刷でプリントが2箇所の私の要望に対して、8万5000円かかるということだった。うーむ、そんなにかかるのか。(この項つづく)







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最終更新日  2011年05月01日 13時18分12秒
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