◎私が訪ねたTシャツ製作屋さんは自宅から高速道路を利用して1時間ほどかかるところにあった。まあ、田舎の街にある。ネットによる製作注文だけではなく、実際に店舗を持っていた。店内に入ると、まず女性用のバッグや小物がディスプレーされた部屋があり、隣にTシャツの部屋があった。私はわき目も振らずにレジにいる青年に声をかけた。「あの、軽い気持ちで相談してもいいんですよね。」
◎青年は店の店員として立っているだけの様子で、奥から20代後半と思われる女性、(まあ、お面はいいほうだ)が出てきた。私は、メールで見積もりを頼んだ「おぎーの」であることを名乗った。そして、来る前にネットカフェにこもって作った、Tシャツ図案が書かれた紙(A4)を手渡した。私は、キャッチフレーズとビジュアル、またそのおおまかなイメージが落書きされたもの、タイポグラフィーのネタ元となるTシャツをみせて、作りたいデザインをKさんという女性に見せた。
◎サムネイルにはこう書かれてあった。『Save Fukushima』。ビジュアルはネットで拾った牛の絵。私は東日本大震災についてのチャリティーは企業や個人がたくさんやっている。だが、福島第一原発の事故についてのチャリティーはない。私は赤十字や共同募金などビッグネームによる、市町村の分配経路はもどかしく、現在、避難勧告を受けている市町村へダイレクトへ献金をしたい。また、みなさんにもしてみたいことを、Kおねえさんへ言った。ついでだが、私はいわゆる反原発ではないことも語り、「とにかく原発事故をとても心配する市民」というようなことを言った。私の広告業界のときに身に着けた発注法はうまくいったようで、Kさんは「ここまで、具体的に決まっていると作りやすい」といってくれた。
◎店のレジ前で立ったままの発注は続いた。Tシャツを作る際に決めないと困るエレメントはいろいろある。無地Tシャツの品番、色、サイズだ。素材は2種類とした。ひとつのブランドは覚えている。プリントスターというメーカーで、Tシャツつくりの王道ブランドらしい。(おっさん世代の私からみたヘインズみたいなもの)もうひとつ、名前は覚えていないが、現在流行中の型を採用した。(ふちが細いやつ)。色はピンク系とブルー系の2色とした。サイズは米製のS,M,Lを選ぶ。このお店は、デザインしてプリントする種類は1パターンしかできないが、無地素材やサイズについては1枚単位で自由に注文できた。私の場合は2×2×3で12通りのパターンとなる。30枚のプリント枚数をどう配分するかはまったくの自由。ここで間違えると在庫の山となるので、Kさんにまかせることにした。ようはL寸はほとんどなしってこと。色もでるものと残る色とにわかれる(どうやらブルーのほうがでそうだ)。そのへんの按配はKさん主導でいく。注文は40分くらい続いた。が、これがたいへん充実し、またアタマを使う時間だった。(脳みそフル回転)帰りのクルマの中で私は満足感とわくわく感に包まれていた。(この項つづく)
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